もはや緊急事態…柏を苦しめる「終盤の失点癖」に処方箋はあるのか?

2018年05月06日 鈴木潤

小池と中山だけに敗戦の責任を押し付けることはできない

タイトマークで相手FWをケアしていた中山(5番)だが、最後に集中力を欠いて決勝点を奪われた。(写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ13節]柏1-2磐田/5月5日/三協F柏
 
「自分が競り負けたというか、あそこで身体をぶつけられなかったことがすべて」
 
 磐田戦の終盤、川又堅碁の逆転弾を許した場面について、小池龍太はそう言って自分自身に非を求めた。中山雄太がマークを外され、上げられたクロスに対し、ゴール前の小池と相手FWとの間にミスマッチが生まれて競り負ける。まるで3週間前の札幌戦を見ているかのような失点の仕方と逆転負けだった。
 
 ただ、小池と中山だけに敗戦の責任を押し付けることはできない。失点の直前には同じようなクロスから、ゴール前に入ってきた上原力也に「あわや」という場面を作られていただけに、チームとしてもっと警戒を強めなければならなかった。もちろんゴール前で跳ね返す強さや、クロスを上げさせない対応も必要にはなるが、大谷秀和は「クロスに至るまでに自分たちが崩してしまった」と全体の対応の仕方に問題があったことを述べた。
 
「磐田がそんなに人数をかけてきているわけではなかったが、前からのプレスがハマっていないのなら、自分たちが後手にプレスに行って空いたスペースに流し込まれるのは個人戦術の問題。そこでプレスに行かずに我慢する勇気も必要。前から行こうとして、相手のビルドアップを高い位置から阻止してというのだけではなく、自分たちがもう一列下がった形でも対応ができなければいけない」(大谷)
 
 しかし柏が抱える大きな問題は、こうした早急に改善しなければならないポイントがひとつやふたつではない点にある。
 
 今季の柏は80分以降の失点が非常に多い。磐田戦の失点で、リーグとACLを合わせて6度目になった。「終盤の失点」と言えばすべて同じだが、例えば先述の札幌戦の失点は、ゴール前の局面だけを切り取れば磐田戦と類似しているものの、札幌戦では柏が攻撃していたにも関わらず敵陣深い位置でイージーなボールロストが引き金になったという点では、磐田戦とは失点に至るシチュエーションは異なる。
 
 以前、下平隆宏監督に終盤の失点について話を聞いた際に「失点のシチュエーションがそれぞれ違うから、一概には言い切れない」と話していたことがある。だが、これほどまでに終盤に失点が多いのは必ず原因があるからだ。
 

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