「浦和といえば慎三さん」昌子源が徹した“一人捨ててでも興梠封じ”の割り切り

2018年05月06日 塚越 始

「慎三さんには絶対に決められたくない」

先輩の興梠(左/30番)とマッチアップした昌子(右)。並々ならぬ決意を持って臨んだ。写真:徳原隆元

[J1リーグ13節]鹿島 1-0 浦和/5月5日/カシマ

 鹿島がオズワルド・オリヴェイラ監督が率いる浦和との激闘を1-0で制し、今季初のリーグ連勝を果たした。この無失点勝利により自信を深めたひとりが、CBとしてフル出場した昌子源だった。


 この一戦で昌子が最も警戒したのは、ほかならぬ浦和の最前線に入る興梠慎三だった。例えば長澤和輝からのパスを受けようとなだれ込む浦和の複数人を見なければならない局面、昌子は「浦和のエースであり、浦和といえば慎三さん。必ずそこにパスが出てくるだろうと、一人を捨ててでも、慎三さんを気にしていました」と"興梠封じ"に徹し、ピンチの芽を摘んだ。

 2011年から2年間、鹿島でチームメイトとして一緒にプレーし、練習中の興梠との駆け引きから多くのことを学んだ。2013年からは浦和対鹿島――このカードで興梠に堂々とマッチアップを挑み、自身の成長度合いを確認してきた。

「浦和と対戦する時は基本的に、慎三さんを意識してやっていますし、絶対に決められたくない。そう思ってやっているなか、慎三さんに何回か決定機を作られましたが、全体の一体感を持って無失点に抑えられたのは大きいです」

 鹿島にとっては4月14日の8節・名古屋戦(スコアは2-0)以来となる5試合ぶりの無失点勝利だ。開幕からなかなかパフォーマンスが安定せずにいた昌子だが、浦和をノーゴールに抑えたこと、すなわち浦和のエース興梠に仕事をさせなかったことにより、安堵するとともに、またひとつDFにとって重要な成功体験を得た。加えて「全員の気持ちがピッチに映っていて、すごく有意義な勝ちだったと思います」と、一丸で手にした勝利に胸を張っていた。もちろんまだ先だが10月(日付未定)に埼スタで開催される30節の再戦では、興梠も黙ってはいないだろう。
 
 そして5月9日にはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)、ホームで上海上港を迎え撃つ。鹿島はJリーグ勢唯一の勝ち残り。

「サポーターの声援が後押ししてくれて、今日は勝たせてくれた。今度も平日ですが、たくさんの方に来て声援を送ってほしい。日本を代表して頑張りたい」と、昌子は浦和戦での勝利を弾みに、フッキ、オスカール、エウケソンを擁する中国の雄をシャットアウトするという超難題に挑む。

取材・文:塚越 始
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