【現地発】こんなこと、ドイツではごく稀! 2部降格決定がケルンの結束をさらに強めた!!

2018年05月04日 中野吉之伴

ドイツ代表の正SBが先陣を切り残留表明

写真は降格がほぼ確定した31節シャルケ戦後。十分にあった残留のチャンスを逃したのだから、大ブーイングを浴びせても当然のところを、ファンはそうしなかった。この姿勢が選手を魅了し、残留を決意させたのだろう。 (C) Getty Images

 4月28日の土曜日、17時21分、ブンデスリーガ第32節・フライブルク戦の試合終了を告げるホイッスルが鳴った。
 
 ケルンにとってクラブ史上6度目となる2部リーグ降格が決まった瞬間だった。
 
 涙を流す選手たち……。監督のシュテファン・ルーテンベックも、ベンチに座り込んだまま動けなかった。
 
 前節のシャルケ戦で勝点3を手にできなったケルンは、すでに降格がほぼ決定という状態だった。0-2から必死に追い上げて2-2の引き分けに持ち込んだことは素晴らしい。だが、それでも残り3節で16位との勝点差が8という状況では、どうしようもなかった。
 
 ホームスタジアムを埋め尽くしたファンもその事実を理解し、受け止めようとしていた。その目には、涙があった。そして、挨拶に来た選手に対し、ゴール裏のファンは盛大な拍手を送ったという。
 
 DFドミニク・ハインツは、「自然と涙がこぼれていた。18位のチームで、こんな雰囲気はないよ。他のスタジアムだったら、シーンとなっていただろうね。それでも僕らは、自分たちが今シーズンしたことを分かっている。ファンには、本当に申し訳ない」と振り返っていた。
 
 2部降格がほぼ確実となった時、多くの選手は、ケルンへの想いをかたちにしようとした。
 
 まずドイツ代表左SBのヨナス・ヘクターが、現行の契約を2023年まで延長することを決断。ドルトムントやバイエルン、ユベントスが獲得に興味を示し、2部降格の場合には800万ユーロの違約金で移籍できる条項が契約に含まれているにもかかわらずだ。
 
 クラブ公式サイトで、ヘクターは以下のように心境を明かした。
 
「ケルンは、僕に4部リーグからドイツ代表までの道を切り拓いてくれた。このクラブと僕は、とても強く結びついているし、感謝している。それに、ケルンがとても好きなんだ。
 
 今シーズン終了後に移籍するとしても、何も問題はなかったかもしれない。でも、僕にとってそれは、正しいこととは思えなかったんだ。この数週間、多くの話し合いを行ない、色々なことを考えた。
 
 そして、僕の答えははっきりした。僕はケルンの一部で、このチームでファンの声援をバックに、来シーズンもここで、全力でプレーしたい」
 
 アルミン・フェーSDは、「ヨナスは素晴らしい選手で、今日のプロサッカー界では稀な、特別なタイプだ。現ドイツ代表選手が我々と行動を共にしてくれるというのは、とても印象深いことだ。ヨナスのケルンへの気持ちは、チーム、クラブ、そしてファンにとって、素晴らしいサインだ」と喜んだ。

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