【番記者通信】静寂が表わすチームの現状|マンチェスター・C

2014年02月25日 スチュアート・ブレナン

10人のシティには、バルサは荷が重すぎた。

54分にリオネル・メッシを倒したデミチェリス(26番)の一発退場が痛かった。 (C) Getty Images

 その日を、誰もが心待ちにしていた。世界的な注目を浴びるという意味では、クラブ史上最大の試合。ワクワクとドキドキが止まらなかった。

 UEFAはこう“認定”していた。
「全世界から注目を集める試合。ファイナルを除けば、最大級のビッグマッチとなる」

 スーパーなタレントを揃えたあの精鋭集団の試合は、いつだってファンの興味を惹きつける。とはいえ、それだけではここまで大きな関心は呼ばない。もう一方のチーム、つまり我々の側もハイレベルだったからこそ、ファイナルに迫るようなビッグマッチと位置付けられたのだ。

 実際、今シーズンのマンチェスター・シティは、時に息を飲むほどの素晴らしいパフォーマンスを見せる。シンプルなパス&ムーブで敵の守備網を切り裂き、強力FW陣がとどめを刺す。破壊力は凄まじく、公式戦を通じてここまで115ゴールを奪っている。マヌエル・ペレグリーニ新監督の下、進化を続けるシティの実力は本物か、それを推しはかる試金石としても、本拠地イティハド・スタジアムにバルセロナを迎え撃った一戦、チャンピオンズ・リーグの決勝トーナメント1回戦・第1レグは、世界中の関心を集めていた。

 迎えたその日、2月18日。世界が注目したビッグマッチは、バルサの勝利に終わった。2-0。メッシを倒してPKを与えたマルティン・デミチェリスのファウルは、ペナルティーエリアの外だった。微妙な判定を味方につけたバルサは、54分、このPKをメッシがみずから蹴り込んで先制すると、ネイマールとのパス交換からダニエウ・アウベスが終了間際の90分に決定的な2点目を決めた。

 メッシへのファウルでレッドカードを食らったデミチェリスが退場し、10人になったシティには、バルサは荷が重すぎた。自慢の攻撃陣も、セルヒオ・アグエロをハムストリングの怪我で欠き、沈黙した。

 健闘を称える拍手がやんで訪れた静寂が、シティの現状を象徴しているようだった。


【記者】
Stuart BRENNAN|Manchester Evening News
スチュアート・ブレナン
マンチェスターの地元紙『マンチェスター・イブニング・ニュース』のフットボール記者で、2009年から番記者としてシティに密着。それまではユナイテッドを担当し、両クラブの事情に精通する。

【翻訳】
松澤浩三
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