兵役回避のラストチャンス! 韓国代表のエース、ソン・フンミンが運命のアジア大会へ

2018年04月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

トッテナムは異例のバックアップ体制

誰もが認めるアジア最強戦士、ソン・フンミン。これから脂が乗り切るタイミングで、兵役に従事しなければならないとしたら……。(C)Getty Images

 4月25日、中国の大手スポーツ紙『Titan Sports』は恒例となっている「ベスト・フットボーラー・イン・アジア」を発表した。『France Football』誌が主催する「バロンドール」に倣ったアワードで、世界中で活躍するアジア人フットボーラーの中から、ナンバー1を選出。2011年から続いている。栄えある2017年の受賞者は、トッテナム・ホットスパーの韓国代表FW、ソン・フンミンだ。文句のつけようがない人選であり、同アワード史上最多となる3度目の受賞となった。
 
 ソンにとって2017―18シーズンは、自他ともに認めるキャリア最高の出来栄えだ。プレミアリーグとFAカップで上位に付け、チャンピオンズ・リーグでもラウンド・オブ16に進んだチームにあって、ソンはここまで全コンペティション49試合に出場して18得点・10アシストをマーク。まさに出色の出来で、スパーズの左サイドに欠かせない重要ピースとなり続けている。
 
 現行契約は2020年6月までだが、クラブ側は早くも2023年までの延長を検討中だ。しかし、その前にソンはひとつの大きなハードルを超えなければならない。韓国出身の20代男子が直面する"兵役"である。

 
 彼らは国民の義務として、21歳から28歳までの間に23か月のミリタリーサービスに従事しなければならず、現在25歳のソンには時間的猶予がなくなっている。このままだと来年2019年の7月までに海外での生活を終えて本国に戻り、軍隊に入るか、軍隊のサッカーチーム(Kリーグ1部の尚州尚武)に所属する必要がある。フットボーラーとしての活動が中断されるわけではないが、欧州トップレベルでのプレーは諦めるしかない。
 
 スポーツ選手が特例として兵役を免除されるのは、次の2パターンのみ。オリンピックで銅メダル以上を獲得するか、同じく4年に一度のアジア大会で金メダルに輝くかのどちらかだ。これまでソンは2度のビッグチャンスを棒に振ってきた。2012年のロンドン・オリンピックで韓国は3位決定戦で日本を破り、銅メダルを手に入れたが、その大会に19歳だったソンは不参加。2014年に母国で開催されたアジア大会は決勝で北朝鮮を下し、韓国は見事優勝を飾ったが、当時の所属先であるバイヤー・レバークーゼンが派遣を許可しなかった。2大会連続の3位以内を狙ったリオ・オリンピックはエースとして臨んだが、チームは惜しくもベスト8でホンジュラスに敗れ去ったのだ。
 
 もはや待ったなしのソンにとって、今夏にインドネシア・ジャカルタ開催されるアジア大会が最後のチャンスとなる。トッテナム、大韓サッカー協会(KFA)、そしてソンの3者がいかに折り合いを付けるのかで注目されていたが、「アジア・ベスト」が発表されたのと同じ4月25日、大きな動きがあった。
 

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