【現地発】ユーベにはまさかの逆風…どうなるスクデット争い?(前編)

2018年04月24日 片野道郎

相対的に優勝までの難易度が低いのは?

ブッフォン(左)ら百戦錬磨の戦士たちを揃えるユベントスだが、ナポリ戦の敗北で、スクデット争いは一気に混沌とした。 (C) Getty Images

 欧州5大リーグで次々と独走優勝が決まるなか、セリエAだけは唯一、ここに来てスクデット争いが熱を帯びてきている。

 4月22日に行われた第34節の首位攻防戦は、敵地アリアンツ・スタジアムに乗り込んだ2位ナポリが、終了間際にCKからカリドゥ・クリバリが挙げたゴールで首位ユベントスを撃破。両軍の勝点差1まで詰まっている。シーズンは残り4試合。まったく目が離せない状況である。

 客観的に見れば、1ポイントとは言えリードしているユーベが有利であることに変わりはない。残り4試合に全勝すれば、ナポリの試合結果に関わらず、自力で優勝を決めることができるからだ。しかし、その4試合の対戦相手を比較してみると、イタリアでは前人未到の7連覇を目指す絶対王者も悠長なことを言っていられなくなる。

ユベントス:インテル(A)、ボローニャ(H)、ローマ(A)、ヴェローナ(H)

ナポリ:フィオレンティーナ(A)、トリノ(H)、サンプドリア(A)、クロトーネ(H)

 

 ユーベは、次節にインテル、最終節のひとつ前にローマという強豪との敵地での対戦を残している。さらに言えば、その両チームともにシーズンの最大目標であり、クラブにとって生命線とも言うべき、来シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)出場権争いの真っただ中で、100%の力を注いでくることはまず間違いない。

 それに比べるとナポリは、フィオレンティーナ、トリノ、サンプドリアという中堅クラブとの対戦を残しているものの、相対的に見ればカレンダーの難易度はユーベよりも明らかに低い。

 上記3チームはいずれもヨーロッパリーグ(EL)出場権争いから脱落しかけているだけに、フィジカル的にも、メンタル的にも消耗の激しいこのシーズン最終盤、モチベーションを最大限に保って戦いに臨めるかどうかは微妙なところだ。

 もちろん、純粋なチーム力だけを見れば、ユーベにしても、ナポリにしても、4試合すべてに勝つだけの力は十分に持っている。フィジカルコンディションという点でも、特に大きな差があるようには見えない。双方に「取りこぼし」をもたらすとすれば、それは何よりもまずメンタル的な要因だろう。

 その観点から見ると、両者が直面している現状は対照的である。ひとことで言えば、ユーベには逆風、ナポリには追い風が吹いている。

次ページR・マドリー戦の敗北で心理的なマネジメントが困難な状況に。

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