【W杯キープレーヤー解体新書】ポール・ポグバ|数年後には世界最高のMFにも

2014年06月15日 ロベルト・ロッシ

最大の武器は強烈かつ正確なミドルシュート。

U-20W杯やチャンピオンズ・リーグなどの大舞台でパーソナリティーの強さも実証済みだ。 (C) Getty Images

 昨夏のU-20W杯でキャプテンとしてフランスを優勝に導き、自身は大会MVPを勝ち取った。所属するユベントスでは、いまやイタリア代表のマルキージオをベンチに追いやって不動のレギュラーとして君臨。そして今予選中盤に抜擢されたA代表ではすぐにレギュラーの座を掴み、デシャン監督にシステム変更を決断させるほどの存在感を発揮している。これでまだ21歳というのだから、驚きだ。数年後には世界ナンバーワンのMFに成長している可能性すらある。
 
 186センチ・80キロの恵まれた肉体にパワーとテクニックを兼備し、攻守両局面で高いパフォーマンスを見せる。守備では強烈なフィジカルコンタクトと長いリーチを活かしたボール奪取に加え、急速に戦術感覚を磨いて状況判断力も高まってきた。
 
 しかし、本領はやはり攻撃。手足が長い痩せ型の体形でアジリティーは高くないものの、それを補って余りあるコーディネーションの良さと正確なボールコントロールを駆使して、どんなボールも吸い付くように足下に収める。そこからは局面を前に進める質の高い縦パスを前線に供給、あるいは豪快な攻め上がりで積極的にフィニッシュに絡んでいく。
 
 最大の武器は強烈かつ正確なミドルシュート。これを活かすうえでも、ポジションはより攻撃に参加しやすい3MF(4‐3‐3や4‐3‐1‐2など)のインサイドハーフがベストだ。2センターハーフ(4‐4‐2や4‐3‐2‐1など)の一角でもまったく問題なくプレーできるが、守備の比重が高くなり攻撃参加の機会が限られてしまうため、自慢のシュート力が宝の持ち腐れになってしまう。
 
 これだけのタレントの持ち主であり、さらにはU-20W杯、チャンピオンズ・リーグなどの大舞台で強いパーソナリティーも実証済み。ポグバのためにシステムをあえて変更したデシャン監督の判断は、正しかったと評価できる。
 
分析:ロベルト・ロッシ
構成:片野道郎

※『ワールドサッカーダイジェスト 出場32か国戦術&キープレーヤー完全ガイド』p63より抜粋。
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