ミシャとの再会… 元指揮官を埼スタはどう迎え、レッズはいかに迎え撃ったのか?

2018年04月21日 塚越 始

「あと10歳若ければ、エモーショナルになっていたかもしれないが」

試合前にペトロヴィッチ監督と抱擁を交わす柏木。スタジアムも元指揮官を温かく迎えた。写真:田中研治

[J1リーグ9節]浦和0-0札幌/4月21日/埼玉

 キックオフ直前、集合写真の撮影を終えた槙野、柏木、興梠が札幌のベンチ前に駆け寄って、ミシャことペトロヴィッチ監督と抱擁を交わす。昨季途中まで浦和でともにプレーし、様々な経験を積んできた同志の再会。何より印象的だったのが、ホームスタンドからもミシャに温かな拍手が送られていたこと。3連勝と好調な札幌との対戦を楽しみにしていた浦和のサポーターもかなり多かった。

 まず、戦術面で興味深かったのが、浦和が札幌と同じ3-4-2-1を採用したことだ。槙野は大槻監督の狙いを明かす。

「ミラーゲームで挑み、まず対面にいる相手から潰すことを狙っていきました」

 1対1の局面を作り出し、個の技術の高さで上回り、数的優位を作り出していく。そういったシンプルな"闘い"を挑んでいった。

 確かに浦和の狙いはハマり、主導権を握る時間は長かった。ただ札幌も味方へのフォローを怠らずゴールを割らせない。都倉という強烈な個が前線から与える脅威も大きかった。

「恩師のミシャとの対戦。狙っていることは個人のところではできました。プレーしていて、とても楽しかった」と、3バックの左で三好や都倉とマッチアップした槙野は振り返り、無失点に抑えたことで自信を深めていた。

 また、浦和から札幌にレンタル移籍中の駒井は契約により出場できなかった。アウェーチームにとって右サイドからの駒井の崩しは今季の武器のひとつだけに、彼の不在は大きく影響した。「駒井が出ていれば、また別の展開になっていたはず」と、ミシャも複雑な思いを吐露していた。
 
 逆に浦和はそのサイドから集中的に崩していった。再三に渡って仕掛けてチャンスを作り出した宇賀神は、「こっちは5年半やっていましたからね。ミラーゲームで負けるわけにはいかなかった」とプライドを覗かせていた。

 一方、感情面では、選手も、ペトロヴィッチ監督も、そこまでの昂りはなかったようだ。ミシャは「あと10歳若ければ、エモーショナルになっていたかもしれないが、(埼スタに戻ってきたという)特別な感情は込み上げてこなかった。懐かしい仲間とお会いできたことは、もちろん嬉しかったですが」と振り返った。
 

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