【横浜】ついに降格圏に転落……「めちゃくちゃ強い」はずが、実は危険な状況に?

2018年04月15日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

黒星が重なれば、方向性にブレが生じる可能性も

前節・広島戦に続き、痛恨の逆転負けを喫した横浜。これで今季二度目の連敗となり、順位は降格圏の16位に沈んだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト編集部)

[J1リーグ第8節]横浜1-2神戸/4月15日/日産スタジアム
 
 不思議な敗戦だった。サッカーでよくあることと言えば、そうかもしれない。
 
 前半をスコアレスで折り返したが、内容を見る限り、勝点3は確実に思われた。高いポゼッションで相手を押し込み、何度も決定機を作り出す。その流れは後半も続き、58分にシンプルな速攻から難なくリードを奪ってみせる。天野純のお膳立てから、オリヴィエ・ブマルが待望のJ初ゴールを決め、均衡を破った。
 
 だが、結果は1-2の逆転負けである。先制から10分後、右サイドから攻め込まれて三田啓貴に同点弾を許すと、さらに11分後に今度は左サイドを突かれ、渡邉千真に逆転弾をねじ込まれた。
 
 その後の猛攻も実らず、前節の広島戦と同様、先制しながらも試合をひっくり返された。同じような内容で今季二度目の連敗を喫した。
 
 追加点を奪えない、先制した後のゲームコントロールに問題がある、守備で最後の部分での厳しさやフィニッシュの精度が足りない、連戦の疲れがある、単純なミスが多い……敗因は決してひとつではないだろう。
 
 ただ同じぐらい、ポジティブな側面もある。相手のプレスをいなすボール回しは安定感が高まり、狭いエリアでも慌てずダイレクトでパスをつないで局面を打開する。ポゼッションで上回るなか、状況を見て、無理に前へ運ぼうとはせず、後ろに下げてやり直す。その判断と割り切りがより明確にもなっている。
 
 天野が言うには、「神戸の選手とさっき話したら、(横浜は)めちゃくちゃ強かったと言っていた」ということらしい。チームが今季から取り組むアタッキングフットボールは、着実に成長している。それは選手たちも確かな手応えとして感じているに違いない。
 
 だからこそ、ある意味、危険な状況とも言える。明らかな問題があれば、そこを修正すればいいだけの話だ。だが今の横浜は内容が悪くないだけに、改善点を見出しにくい。復調のきっかけを突き止めにくい。
 
 この神戸戦の敗戦で、横浜は降格圏の16位に落ちた。鹿島とともに、J開幕から参戦する"オリジナル10"の一員として、一度も降格していない名門が苦しんでいる。
 
 もちろん、まだ十分に時間は残されているし、絶望的な状況でもない。それでも、黒星が重なれば、このサッカーでいいのかと、選手たちが疑心暗鬼となり、方向性にブレが生じる可能性がある。それが一番、まずい。
 
 長いシーズンのなかで、いくつかある分岐点が今ではないか。ここをどう乗り切るかは注意深く見守りたい。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

【横浜 1-2 神戸 PHOTO】前半の猛攻をしのいだ神戸が三田と渡邉のゴールで逆転勝利!
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事