ブラジルW杯 列強国の開幕直前ポイントチェック|ドイツ編

2014年06月12日 マルクス・バーク

ロイスに代わるムスタフィの追加招集は疑問だが。

本調子ではないエジル(右)とゲッツェ(左)の状態が気になるところだ。 (C) Getty Images

 いよいよ開幕が迫ったブラジル・ワールドカップ。覇権を争う、いわゆる列強国は、どのような状態で大会を迎えようとしているのか。8つのポイントから現状を診断した。
 
 中盤、とくに攻撃的MFにワールドクラスのタレントを揃え、チームの完成度は大会随一のドイツをポイントチェック。
 
【ドイツ】
前回大会:3位
今大会初戦:6月16日 ポルトガル戦(グループG)
 
Q1 23人の人選は?
 
満足
 
 マルコ・ロイスが怪我で離脱するまでは、バランスの取れた、文句なしの人選だった。ロイスの代役として、ヨアヒム・レーブ監督がなぜ、ケビン・フォラントやピエール=ミシェル・ラソッガといった攻撃の選手ではなく、スコドラン・ムスタフィというセンターバックを追加招集したのかは謎だ。
 
 とはいえ、そもそも攻撃陣はタレントが豊富でクオリティーが高い。それを踏まえれば、ロイスに代わるムスタフィの招集はそれほど重要な決断ではないのかもしれない。満足か不満かと問われれば、人選には満足だ。
 
Q2 チームの仕上がり具合は?
 
まずまず
 
 フィリップ・ラーム、バスティアン・シュバインシュタイガーという大黒柱がコンディションに不安を残し、守護神マヌエル・ノイアーが故障を抱えているのが気がかりだ。昨年11月の膝靭帯断裂から復帰したばかりのサミ・ケディラは万全とは言い難く、さらにミロスラフ・クローゼも13-14シーズンは故障を繰り返した。
 
 かなりポジティブに言っても、チーム状態は「まずまず」だろう。
 
Q3 キャンプインからここまでチームの雰囲気は?
 
最高
 
 チームの雰囲気は素晴らしいと、公式記者会見の席では常にそう繰り返される。2年前のEUROでもそうだった。だが、後になって判明したのは、実際はそうではなかったという事実だ。
 
 ドルトムント勢とバイエルン勢の2大勢力が調和するのか。それには疑問がつきまとう。両チームの選手の間に強いライバル意識が存在するのは否定できない。
 
 それでも、大会直前のいま、チームの雰囲気は非常に良好と言えるだろう。
 
Q4 最大の楽観材料は?
 
守備陣の好調
 
 この数年のドイツ代表のアキレス腱と言えば守備だった。しかし、ペア・メルテザッカーとマッツ・フンメルスのCBコンビ、おそらく右SBで起用されるジェローム・ボアテングは最高に近い状態にある。それが楽観材料だ。
 
Q5 最大の懸念は?
 
本調子ではないエジルとゲッツェ
 
 メスト・エジルとマリオ・ゲッツェがともに本来のフォームではなく、それがチームに影を落とす。
 
 とくにエジルは、上手くいかないイライラをすぐにボディーランゲージで表わしてしまう悪い癖がある。ロイスの欠場が決まり、エジルには攻撃陣の柱としての自覚がこれまで以上に求められる。

次ページダイナミックな守備的MFで、プレーはソリッド。

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