誰よりもペケルマン監督を知る日本人解説者・都並敏史氏が語る「コロンビア攻略法」

2014年06月12日 週刊サッカーダイジェスト編集部

指揮官の巧みな人心掌握が選手の良さを引き出す。

強力なアタッカー陣を擁するコロンビア。ファルカオ不在でもアタックの威力は脅威だ。(C) Getty Images

 日本代表のグループリーグ第3戦の相手は、南米の強豪コロンビア。大エースのファルカオは怪我のためエントリーされなかったものの、欧州でその名を轟かせるアタッカー陣は大会屈指のレベルだ。そして、チームを率いるのは名将の誉れ高いペケルマン監督。グループCの本命と目される相手を分析するのは、元日本代表で、過去にペケルマン監督と師弟関係にあった都並敏史氏。誰よりも敵指揮官を知る日本人解説者の都並氏に、その攻略法を訊いた。
 
――◆――◆――
 
 南米のスタイルには、大きく2種類あると思う。攻撃を重視するか、守備から入るか。コロンビアは歴史的に前者の色が濃く、ポゼッションを大切にしてきた。ショートパス主体の、バルセロナのようなサッカーだ。しかし、ペケルマン監督は違う。
 
 勝負にこだわるアルゼンチン人らしく、まずは守備を重んじる。彼が指揮を執り、チームは確実に安定感を増した。実際、パフォーマンスはガラリと変わり、南米予選の総失点は参加した9か国中最少の13だ。
 
 指揮官の考え方は、攻撃面にも好影響を与えている。つなぎを意識するあまり、遅攻のみのワンパターンになりがちだったアタックに、長いパスを使った速攻を取り入れた。それにより、ショートパスの崩しもさらに活きるようになった。
 
 また、ペケルマンは規律を重んじると同時に、選手とよく対話し、攻撃においては自由を尊重する監督でもある。僕は07年に、メキシコのトルーカにいたペケルマンの下で勉強させてもらったが、選手と綿密なコミュニケーションを取っていたのが印象的だった。
 
 コロンビアのオフェンスには、そもそも素晴らしいタレントが揃う。ファルカオ(※後に登録メンバーから外れる)やJ・ロドリゲスは当然ながら、A・ラモスら控えFWですら、Jリーグで20点は取れそうな選手が名を連ねる。彼らがぺケルマンの指導により、戦術的な規律に則ったうえで、個の力も発揮できている。ここが一番のストロングポイントだ。
 
 一般的に言って、守備の規律を厳しくすると攻撃のアイデアが狭まるケースもあるが、今のコロンビアは上手くバランスが取れている。ペケルマンの巧みな人心掌握術が、選手の良さを最大限に引き出しているのだろう。
 
 指揮官の選手寄りな姿勢は、システムにも表われている。よくコロンビアは試合中に布陣を変えると言われるが、本来ペケルマンはシステムに捉われない。選手の特性を活かし、試合展開に応じて臨機応変に戦い方を変える。僕が実際に見た試合でも、左SBの選手を試合中に右へ移し、途端に流れが良くなったゲームがあった。勝利のために逆算した采配が取れる、まさに名将である。
 
 良い面ばかりを挙げてきたが、日本がつけ込むべき弱点も紹介したい。それはズバリ、CBの距離感。ジェペスとペレア(※後に怪我のため登録メンバーから外れる。代役はクリスティアン・サパタ)の両CBの距離が、開き過ぎるケースが散見されるのだ。ここは「よくペケルマンが放っておくな」と思う部分。緻密な指揮官らしからぬ「穴」だ。

次ページ中央で縦パスを通されると、日本にとって厳しくなる。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事