「こいつだけにはやらせない」明暗分かれた“日本人対決”に久保と森岡は何を想ったか?

2018年04月02日 中田徹

おもしろすぎる久保と森岡の掛け合い。

結果も含めて明暗が分かれたベルギー日本人対決。試合後に森岡(右端)と久保(31番)はそれぞれ何を語ったのだろうか。 (C) Getty Images

 4月1日(現地時間)、アンデルレヒト対ヘントのプレーオフで、追加点を決め、チームの2-0の勝利に貢献した久保裕也(ヘント)が、日本人記者たちに囲まれるのを見つけた森岡亮太(アンデルレヒト)は、「痛い! 久保くんに削られたところが痛いです」と言っておどけた。
 
 この日、ベンチスタートだった久保が、ブレヒト・デヤーヘレに代わってピッチに入ったのは79分。その4分後には、ボールを持った森岡の背後から激しいチャージをかまし、イエローカードを貰っていた。
 
「完全にファウルでした。気持ちが空回りしただけです」とは、久保だ。
 
 一人の記者が、「試合が終わってから、ピッチの上でお二人が話してましたが」という質問をしたのをきっかけに、両者の掛け合いが始まった。試合の緊張が溶け、特に久保の表情は、どんどんと緩んでいった。

 
「『ナイスゴール!』って言いました」(森岡)
「『がめついな』と言われました」(久保)
「『PK、俺が蹴ってもいいか?』って確認してたでしょ」(森岡)
「今日のPKは(キッカーが)俺じゃなかったんです。譲ってもらいました」(久保)
「『(久保が交代で)あ、入ってきた。こいつにだけには、やらせない』と思ってました。やられましたけどね(苦笑)」(森岡)
「たまたま近い位置に(森岡が)いたんで、『プレッシャーにいかないと』と思って、そんなに意識せずやったんですけれど……。イエロー、もらっちゃいました」(久保)
「え、イエロー、もらったの? あれはイエローやわ。だって、今も痛いもん」(森岡)
 
 これほど、はっきりと明暗が分かれた日本人対決も珍しいだろう。わずか11分間の出場に留まったとは言え、久保は自ら蹴ったPKをGKに防がれるも、リバウンドをしっかり詰めてゴールを決めた。
 
 一方、森岡は0-1で迎えた58分、相手GKと1対1になる絶好機を得ていながら、シュートを右ポストに当ててしまった。ベルギーのスポーツ専門サイト『Sporza』は森岡の痛恨のミスを、この試合のターニングポイントに挙げた。
 

次ページ森岡に去来したプレーオフ1の緊張感。

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