【現地発】バレンシアだけでなくスペイン代表でも! 万能型FWロドリゴの才能がついに本格開花

2018年04月01日 エル・パイス紙

スペイン代表のレギュラーCFに名乗り。

ドイツ戦ではイニエスタのスルーパスに反応し、鋭い反転から先制ゴールを決めたロドリゴ。恩師の抜擢に見事に応えている。(C)Getty Images

「今日の主役はあいつさ」

 3月23日のドイツ代表との親善試合を戦い終え、会場のエスプリ・アレーナ(デュッセルドルフのホームスタジアム)を去る際、スペイン代表のジエゴ・コスタは肩をすくめながらそう言い放った。

 その視線の先にいたのは、"同胞"のロドリゴ(ロドリゴとD・コスタはともにブラジル出身)。そしてその「主役」は、的確な分析でみずからのドイツ戦のパフォーマンスを振り返った。

「ドイツは個々の選手がピッチを広範囲にカバーするマンマークの守備を採用してきた。だから今日は、ダビド・シルバやイスコが中に入れるように、スペースを作ることを意識してプレーしたんだ。マッツ・フンメルスやジェローム・ボアテングの裏を取ることを、繰り返し狙いながらね」

 今シーズン、見事な復活を遂げたバレンシアのマルセリーノ・ガルシア・トラル監督は、チームを支えるキープレーヤーとして、ふたりの選手の名前を挙げる。ひとりは司令塔のダニエル・パレホ、そしてもうひとりがロドリゴだ。

 マルセリーノ監督がロドリゴのプレーの中でとくに高く評価しているのが、オフ・ザ・ボールの動き。スピードとインテリジェンスを駆使してボールを受ける動きを繰り返し、相手DFを引きつけて味方のパスコースを作る。その献身性は守備でも発揮され、相手にボールが渡ると、素早くアプローチをかける。今回のドイツ戦でも、ロドリゴは攻守に渡ってそうした持ち味を遺憾なく発揮しつづけた。
 イスコ、シルバ、アンドレス・イニエスタといったパサーにとっても、ロドリゴは格好のパスターゲットであり、65分に途中交代するまで敵の2ライン(DFとMF)の間でボールを引き出す動きを繰り返し見せた。

 ドイツ戦で受けたパス本数は23。3分に約1本の計算だ。ちなみに、ロドリゴに代わって投入され、動きに硬さが見られたジエゴ・コスタが受けたパス本数は5。およそ5分に1本というその数字と比較すれば、差は歴然としている。

 典型的なストライカータイプより、コンビネーションプレーに長けたシャドーストライカータイプのほうが、スペイン代表の戦術にマッチするという定説が改めて実証された格好だ。

 マークを外す動きに加え、ロドリゴのもうひとつの大きな武器が鋭いターンだ。そのスピードと切れ味はリーガ・エスパニョーラでもトップクラスで、ドイツ戦の先制ゴールの場面でも、イニエスタのスルーパスを呼び込みシュートするまでのスムーズかつ素早い動作に見事に活かされていた。

 スペイン代表のジュレン・ロペテギ監督にとって、ロドリゴはU-21代表を率いていた頃の教え子でもあり、2013年にイスラエルで開催されたU‐21欧州選手権では優勝を経験している。ドイツ戦でロドリゴとともにスタメンに名を連ねたダビド・デ・ヘア、ダニエル・カルバハル、コケ、チアゴ・アルカンタラ、イスコらも当時のメンバーで、そうした勝手知ったるチームメイトの存在も、連携の面において大きなアドバンテージになっている。

 昨シーズンまではバレンシアで決定力不足を指摘され続け、サイドで起用されるなど、いわばストライカー失格の烙印を押されたこともあったロドリゴ。今シーズンはここまで全公式戦35試合に出場して16得点を挙げているバレンシア同様、スペイン代表でもその存在感を高めている。

文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙/スペイン代表番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています
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