代表戦の出来に批判的な意見も…杉本健勇は周囲の喧騒を吹き飛ばせるか

2018年04月01日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「厳しい声は承知している」

湘南戦では途中出場からわずか10分で値千金の決勝ゴールを奪取。まさにエースと呼ぶに相応しい活躍だった。写真:川本 学

[J1リーグ5節]C大阪2-1湘南/3月31日/キンチョウスタジアム
 
 セレッソ大阪に今季rリーグ戦初勝利をもたらしたのは、エースの杉本健勇だった。
 
 76分に途中出場した杉本はその10分後、大仕事をやってのける。1-1で迎えた86分、松田陸からのロングパスをサイドで受けると、相手とうまく入れ替わりエリア内に侵入して左足を一閃。鋭いシュートをファーサイドに突き刺し、チーム待望の追加点を奪ってみせた。
 
「良い抜け出しができて、パッと後ろを見た時に相手が来ていたのが分かったのでわざと前に入らせて、うまく入れ替われた。シュートは思い切り打とうと思った。イメージどおりでした」
 
 そうゴールシーンを振り返った杉本だが、この決勝点はいつも以上に強い覚悟が生んだのかもしれない。
 
 湘南戦の4日前、日本代表としてウクライナ戦に先発出場した杉本は、無得点のまま56分に途中交代を命じられた。大きなインパクトを残せず、本人も「まったくアピールできなかった」と語っている。そんな悔しい気持ちを抱えて臨んだゲームだった。
 
「チームとしても負けましたし、個人としても厳しい声は承知している。かと言って、そんなことに惑わされていても前に進めない。駄目だったことを受け止めてもう1回自分を見つめ直さないとあかんなと思ったし、引きずっていても意味がない。ここでしっかりやる、と気持ちをしっかり切り替えようと思った」
 
 代表戦後は、批判的な意見もあったというが、それでも杉本は意に介さない。周囲の声に関わらず、前を向いている。
 
 決勝ゴールを奪った湘南戦後もそのスタンスは変わらず、決して浮かれることはない。
 
「調子が良い時は結果も出せる。それをあと2か月続けていくことが、すごい大事になってくる。ここでやるしかないですから、次の代表まで。自分の中で良い危機感を持たないと。一つひとつのプレーがやっぱりアピールになると思うし、集中してやりたいですね」
 
 周囲からのプレッシャーをモノともしない強気な姿勢で、これまでもステップアップを続けてきた。だからこそ、今回も喧騒を吹き飛ばしてくれると期待してしまうのだ。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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