「偽サイドバックですか?」の質問に、“左SB”中山雄太の回答がワンランク上だった

2018年04月02日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「ほぼやることは一緒ですけど…」

左サイドバックとしてのプレーについて、中山は多くのことを語った。写真●山崎 賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ5節]柏 2-1 神戸/3月30日/三協F柏
 
 神戸を2-1で下した試合、81分から出場した中山雄太はユン・ソギョンに代わって左サイドバックに入った。86分に伊東純也のゴールで勝ち越し、逃げ切りの策として89分に亀川諒史が投入されてから、背番号5は5バックの一角として左のCBにポジションを移している。
 
 興味深かったのは、中山の左サイドバックとしてのプレーだ。わずか8分間だったが、守備時は左サイドバックとして、攻撃時はボランチのように中央寄りでプレーしていたのである。これは海外だけでなく、Jリーグでも数チームが試している"偽サイドバック"と呼ばれるものなのか?
 
 そう思い、「偽サイドバックでしたか?」と質問すると、中山はこう答えた。
「ほぼやることは一緒ですけど、入るタイミングが違います。(ほかのチームは)最初から(中央に)入っていることが多い固定されるポジション。自分は中に入ったり、外に入ったりするというオプションのひとつと思っています」
 
 それが顕著に表われていたのが84分の場面だ。「(江坂)任くんが落ちて、本来の中盤の位置が(誰も)いなかった。スペースがあったので自分が入りました」と言う中山は中盤から左サイドにパスを散らした。
 
 ちなみに、そのワンプレーから86分の勝ち越し弾まで、中山はボランチに近い位置でプレー。その間、柏はずっと敵陣でパスをつなぎ続けている。クリスティアーノ、小池龍太、山崎亮平で右サイドから相手を崩し、最後は伊東が決めた2点目は必然だったのかもしれない。
 ACLの天津権健戦でも試している中山の偽サイドバック。若きユーティリティプレーヤーが教えてくれたメリットは3つだ。
 
1.中盤の枚数を増やせる
2.パスの循環が良くなる
3.ルーズボールを拾いやすくなる
 
 ただ、"ほぼ"偽サイドバックであると言う中山にとっては、前述の少しの違いが重要になるそうだ。
「入る向きがダイアゴナルなので、相手の選手がマークを受け渡しづらい。あとはマークがついてきても、スペースを生み出せると思います。自分のイメージだと(中央に)入らなくて良いシーンもあると思っている。だから指示通りに縛られるのではなく、自分の判断で中と外のポジショニングを取りたい」
 
 偽サイドバックについて、中山は他チームが採る戦術との違いを示しつつ、ワンランク上の回答をしてきた。また、「本来、サイドバックの選手は(サイドで)縦にいく強さがある。自分はそこと(中央のプレーと)どっちもできたら、相手にとって脅威になる」とさらに貪欲な姿勢を示している。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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