【現地発】トゥヘルの就任拒否は双方に好都合! バイエルンの次期監督に相応しい人材は!?

2018年03月31日 中野吉之伴

トゥヘルを高く評価する声も多々

バイエルンを劇的に変貌させ、3冠達成への期待を見る者に抱かせているハインケス監督(右端)。それだけに、後任者にとってハードルは高くなる。 (C) Getty Images

 ブンデスリーガ第27節終了時点で2位シャルケに勝点17差をつけているバイエルン。もし土曜日に行なわれる28節で、シャルケがフライブルク相手に引き分け以下に終わり、なおかつバイエルンがドルトムントに勝てば、リーガ史上初の6連覇を達成する。
 
 シーズン序盤こそ波に乗れない時期もあったバイエルンだが、カルロ・アンチェロッティの後を継いだユップ・ハインケス監督が、見事にチームを立て直した。

 だが、そのハインケスとの契約は今夏まで。会長のウリ・ヘーネスは、何とか来シーズンもやってもらえないかと粘り強く交渉を続けていたが、ハインケスの今シーズン限りという決意は固く、ここにきてようやく、後任監督探しに本腰を入れなければならないと決心したようだ。
 
 そこでまず、アンチェロッティ解任時にも候補に挙がっていた元ドルトムント監督のトーマス・トゥヘルとコンタクトを取ってみたものの、すでに国外トップクラブで指揮を執ることが決まっているとの理由で、断られてしまった。
 
 ドイツメディアの情報によると、アーセナル、パリ・サンジェルマン、チェルシーの名が、行き先として噂に挙がっている。
 
 トゥヘルを逃したことは、バイエルンにとってどんな意味を持つのだろうか。
 
 彼を優れた監督と評価する識者は皆、その専門知識の豊富さと戦術の柔軟さを絶賛する。例えばドイツ代表MFのサミ・ケディラは、「トーマスのことは、ユース時代から知っている。とてもクレバーな人間で、サッカーについての知見が素晴らしいんだ。彼のプレーアイデアは、バイエルンにもすごく合うと思う」と語っている。
 
 また、元バイエルンFWのアレクサンダー・ツィックラーは、「最も大事なのは、専門性だ。トゥヘルがそれをもたらせることは、マインツでもドルトムントでも証明されている」と評価した。
 
 元ブラジル代表FWのジオバネ・エウベルも、「トゥヘルがバイエルンで監督をすることをイメージできるよ」と歓迎し、また元ドイツ代表MFのディトマール・ハマンは、「ドルトムントで問題があったからといって、ミュンヘンでも問題が起こるとは限らない」とフォローしていた。
 
 確かに、マインツでもドルトムントでも、トゥヘルは確かな結果を残してきた。パズルの完成図をイメージし、それぞれのピースを組み上げ、状況に応じて置き換える手腕に長ける。チームとして、とても緻密で洗練さがありながらも、さらに選手個々が持つ爆発力も活かそうとする。かみ合った時のチームパフォーマンスは、非常に高かった。
 
 だが、そのための要求レベルが非常に高く、時に神経質すぎる反応を見せる点がネックでもあった。トゥヘルが求める基準を選手がクリアできないと、彼のサッカーは成り立たないという側面もある。

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