いざ、仮想ポーランドとの一戦へ! 日本代表は役者が揃う強豪ウクライナを相手にどう振る舞うべきか

2018年03月27日 河治良幸

ここ数年に渡って模索してきたスタイルは――。

適材適所に実力者を揃えるウクライナ。シェフチェンコ監督の指導のもと、連動性と組織力に磨きをかけている。(C) Getty Images

 親善試合で日本がマリとなんとか引き分けた現地3月23日、アンドリー・シェフチェンコ監督が率いるウクライナはサウジアラビアと1−1で引き分けた。
 
 エースのアンドリー・ヤルモレンコを欠く状況だったとはいえ、戦力的な期待値からすれば不甲斐ない結果と言える。しかし、ウクライナの基本的な志向を確認するには十分に参考になる試合だった。
 
 かつてのウクライナはタイトに守備を固め、鋭いカウンターで仕留める戦いを用いていた。だが、ここ数年は中盤でしっかりと組み立てながら、サイドを起点に連動性のある仕掛けでゴールに迫るスタイルを模索しているように見える。事実、シェフチェンコ監督は「多くのパスを繋いでチャンスを作りたい」と前日会見で明かしている。
 
 さらにマンチェスター・シティでプレーする若手MFのオレクサンドル・ジンチェンコやブラジル生まれのマルロスというテクニカルな選手が中盤を仕切り、その傾向は強まっている。

 
 4−1−4−1を基本布陣とするウクライナ。サウジアラビア戦で挙げた唯一の得点は、エフゲン・コノプリャンカが供給した左からのクロスに189cmの長身FWアルテム・クラベツがヘッドで合わせるというシンプルな得点パターンだった。
 
 この時、興味深かったのはゴールを決めたクラベツの他に、右サイドハーフのヴィクトル・ツィガンコフ、インサイドハーフのジンチェンコとマルロスという3人がペナルティーエリアまで飛び込んでいた点だ。
 
 一人ひとりが攻撃能力に優れる2列目の背後を、攻守のバランス感覚に長けたシャフタールの主力MFタラス・ステパネンコがアンカー役として引き締め、さらに高精度の左足キックを兼ね備えているルスラン・マリノフスキーも控えるウクライナは、適材適所にしっかりした役者を揃える手強い相手だと断言できる。
 
 かつて、同国の絶対的なエースとして君臨したシェフチェンコ監督が課題として挙げているのは、国際舞台で通用するセンターFWがいないことだ。
 
 現在はトルコ・リーグのカイセリスポルに所属するクラベツがファーストチョイスだが、日本戦ではシェフチェンコ監督の"秘蔵っ子"でもあるディナモ・キエフの22歳、アルテム・ベシェディンにチャンスが与えられる可能性もある。彼らに共通するのは高さで、日本は空中戦に強い植田直通を起用しても面白いかもしれない。
 

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