３月上旬にセレッソ大阪U-18から長崎総科大附に籍を移し、注目を集めていた鈴木冬一が３月26日に静岡で行なわれた親善大会の初戦・帝京戦に先発。いきなり格の違いを見せつけた。
 
　約２週間前にチームに加わったばかりで、トップチームでの対外試合はまだ３試合目だという鈴木。だが、合流して間もないというのが嘘のように４-２-３-１のトップ下で、抜群の存在感を発揮する。

　序盤から得意のドリブルと良質な左足のキックで攻撃を牽引。開始早々にCKからチャンスを作ると、その後も変幻自在なプレーで異質な才能をまざまざと見せつけた。
 
　前半こそ得点を奪えなかったが、ハーフタイムをはさんで最大の見せ場がさっそく訪れる。

　リードを許して迎えた後半の立ち上がりに右CKから同点弾をお膳立てすると、その直後には自ら持ち込んで左足で逆転弾を叩き込んだのだ。
 
　後半20分過ぎにお役御免となったが、随所に違いを見せ、１ゴール・１アシストの大活躍でチームの勝利の貢献。辛口で知られる名伯楽・小嶺忠敏監督も「技術に関しては良いものを持っているよね」と賛辞を送り、昨年10月にU-17ワールドカップに出場した経歴が伊達ではないことを証明した。
 
　試合後、「プロを目指す上で、このままでいいのかなという感情が芽生えてきたのが移籍の理由」だったと明かした鈴木は、帝京戦の出来に関して「チームメイトと上手くやれたと思う」と明るい表情で話した。移籍してわずかな時間で、すんなりとチームに溶け込んでいる様子が窺える。
 
　Ｃ大阪U-18で昨季はJ３を経験し、今季もすでに２種登録が完了していた最中での電撃移籍。来季のトップ昇格も十分にあり得る状況を捨ててまで、鈴木は新たなチャレンジに挑む道を選んだ。
 
　何故、C大阪の有望株は環境を変える決断を下したのか。その理由を本人に直撃すると、様々な葛藤とプロ入りへの想いが見えてきた。次回、移籍の真相と今後の目標について、鈴木の想いをお届けする。
 
<次回に続く>

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