【藤田俊哉の目】宇佐美がピッチに戻ってきた! それこそがマリ戦最大の収穫だ

2018年03月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

チームとしてのパフォーマンスには寂しさを感じざるを得なかった。

マリ戦で1年9か月ぶりに先発した宇佐美。随所にテクニックの高さを見せた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ベルギー遠征の初戦、マリとのテストマッチは、リーズ・ユナイテッドのスタッフとして、ヨーロッパを拠点に活動していることもあって、昨年11月のフランス・ベルギー遠征に続いて、現地観戦することができた。
 
 3か月後のワールドカップに向けて、弾みをつけたい日本がマリ相手にどんなサッカーを見せてくれるのか、とても期待しながらキックオフの時間を待っていたが……。お客さんがまばらだったスタンド以上に、ピッチ上での日本代表チームのパフォーマンスには寂しさを感じざるを得なかった。
 
 ワールドカップのグループリーグでの対戦を見据え、仮想・セネガルとしてマリとの対戦に臨んだ日本だったが、4年後のワールドカップに向けて新チームとして立ち上がったばかりのマリのほうが、個々のチャレンジが多くあったのは残念のひと言に尽きる。もっとも、マリはロシア大会に出場しないとはいえ、決して悪いチームではなかった。
 
 FIFAランキングでは、マリは67位で、セネガルは27位。セネガルよりも格下とはいえ、自分が想像していたよりもコレクティブなチームで、個々のクオリティも高かった。
 
 だからといって、日本は同55位であるのだから、マリが思ったよりもいいパフォーマンスを見せたことが、凡戦となったエクスキューズにはならない。本来ならば、3か月後のワールドカップに向けてチームとしての成熟度を高めていかなければいけないはずの日本は、終了間際の中島翔哉の代表初ゴールが生まれていなければ、敗戦していたのだ。残念ながら、内容・スコアともに満足のいく結果を得たとは言えない。
 
 試合後、ハリルホジッチ監督も「多くの課題が散見した。まだセネガル戦に対する準備はできていない」と言っていたとおり、仮想・セネガルとして挑んだこの日のチャレンジは"失敗"に終わったと言わざるを得ない。さらに言えば、ワールドカップへの準備は間に合うのか、という不安は拭い切れない。せめてそのきっかけになるゲームにしたかったが……、ウクライナ戦に持ち越しとなった。
 
 ここから、どうやってワールドカップで戦えるチームを作り上げていくのか。軸となるメンバーやコンセプトといった、チームの骨組みはすでに指揮官の頭のなかでイメージはできているのだろうから、これからはチームに勢いをもたらす、もしくはチームの風向きを変えてくれるプラスアルファの台頭こそが求められる。
 
 そうした視点で見れば、マリ戦ではチームとして満足のいく結果こそ得られなかったものの、宇佐美の復調は最大の収穫だろう。

次ページクラブでの好調をそのまま代表チームへ還元してくれる予感がした。

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