「2010年の戦い方かそれとも…」槙野智章がチーム内に生まれるジレンマを語る

2018年03月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

「常に理想を求めてばかりでも結果は出ないが、未来の日本サッカーを考えれば…」

ファンと笑顔で交流する槙野。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ベルギー・リエージュに遠征中の日本代表がマリ戦翌日の24日、トレーニング後にメディア取材に応じた。センターバックとしてフル出場した槙野智章がマリ戦を振り返るとともに、チーム状況について語っている。
 
「練習の始めにも監督から(マリ戦に関して)厳しい言葉を浴びせられた」と明かした槙野。終了間際に追いついてのドローにも、「引き分けて良かったねという感じではないし、ロッカールームでも満足している選手はひとりもいませんでした」と、淡々と振り返った。
 
 マリ戦後には、他国のテストマッチの状況も確認したようで、「スペインとドイツの試合を見たり、ブラジル対ロシアの試合を見たり、あるいはコロンビア対フランスの結果を受けて、自分たちがこれから対戦するであろう国と比べると、やるべきことはまだたくさんあるし、厳しくやらなくちゃいけない」と気持ちを新たにウクライナ戦へ臨むことを決意している。
 
 さらに槙野はマリ戦後、ある選手との会話を明かし、いまがチームの方向性を定めるうえで、重要な岐路にあることを明言した。
「昨日(マリ戦の後)、長友選手と長く話しましたけど、2010年の南アフリカ・ワールドカップのような戦い方をするのか、2014年のように自分たちの攻撃的なサッカーを掲げたブラジル・ワールドカップのような戦い方をするのか、そこの整理をみんなの共通意識を持ってやらないと、バランスや考え方がバラバラになってしまう危険性がある。そういう話を2大会を経験している彼らから聞けたのは非常に良かった」
 
 ベスト16入りを果たした南ア大会のように、強固なブロックを構築して守備に軸足を置くのか、それとも前回ブラジル大会のようにしっかりとボールを保持しながら攻めるアクションスタイルに比重をかけるのか。いずれの戦い方を選ぶにせよ、マリ戦のような戦いぶりではワールドカップ本大会へ向けて明るい展望は示せない。
 
 槙野自身はこの問題について「自分たちがいま、どれくらいのサッカーができるのかを把握し、対戦相手に対してどれだけのことができるのかを考えたうえで、臨機応変にやる必要がある。常に理想を求めてばかりでも結果は出ないと思う」と現実的な見方をしている一方で「未来の日本サッカーを考えれば、引いて守って我慢する戦い方だけでも成長につながらない。そこは一回整理する必要があると思う」と私見を述べた。
 
 チームの現状に対しては、長友だけでなく、キャプテンの長谷部誠も危機感を口にしている。マリ戦の反省を踏まえて、ウクライナ戦はいかなる修正を施すのか。槙野も語るように、日本代表が本番に向けて、どのようなバランス感覚を持って戦うのかが試されそうだ。
 
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