年商220億円超で新規上場! 元Jリーガー社長が見据える「サクセスストーリーのその先」

2018年03月23日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

絵に描いたような人生の逆転劇と成功物語

なんと現役当時のガンバユニを着込んで東証マザーズに登場した嵜本社長。「絶対にこれを着ようと思ってました」とニッコリ。(C)SOU

 期待と希望に満ち溢れてプロの世界に飛び込んだものの、厳しい生存競争にさらされ、若くしてスパイクを脱ぐ選手は少なくない。20代前半で人生を仕切り直すにしても、サッカー界にとどまって指導者の道を歩むにしても、あるいは大学に入学・編入するにしても、一筋縄では行かないケースが多いと聞く。
 
 現在はJ1からJ3まで54クラブがあり、10年前とは比べものにならない数(およそ1600人強)のプロ選手が籍を置いている。Jリーガーのセカンドキャリアに対しては選手会をはじめ、さまざまな形での改善や提案が図られているが、なかなか追いついていないのが現状だ。

 
 かつてガンバ大阪で3年間プレーしたものの出場機会をほとんど得られず、当時JFLの佐川急便大阪に入団し、いわば実業団チームでサラリーマンをしながらサッカーを続けた。そして、22歳の若さで現役生活にピリオドを打った。嵜本晋輔である。
 引退後は実家の小さなリサイクルショップから再起を図り、ふたりの兄と一緒にさまざま葛藤と挑戦を繰り返しながら、事業を拡大させていった。そして現在は、年商220億円を超えるベンチャー企業の社長を務める。ちょうど1年前、久しぶりに再会して取材をし、当サイトで紹介したところ、大きな反響を呼んだ。
 
 嵜本はプロを諦め、佐川急便大阪で過ごした1年間が実り多きものだったと話した。足下を見つめて自分の将来を考えるため、現実を噛み締めて自分と向き合う良い時間になったという。Jリーガーであるうちは、夢に胸を膨らませて、引退後のことなど考えが及ばない。だが、嵜本は「自分がそうだったからよく分かる。サッカーをずっとやっていけるんだろうと思ってましたし、ビジョンなんてなにもなかった。だからこう言えます。プロの世界、なにが起こるか分からない。将来のことは絶対に考えておいたほうがいい」と語る。
 
 4月14日に36歳となる若社長が率いるのは、中古ブランド品の買取・販売を手掛ける会社『SOU』で、買取専門店「なんぼや」を中心に全国規模で幅広く業務展開している。その業界で彼と社名を知らない者はほとんどいないほどの急成長を遂げ、ついに創立からわずか6年で東証マザーズの新規上場が決定した。
 
 まるで絵に描いたような人生の逆転劇と成功物語。今回あらためて、嵜本に話を聞いた。ベンチャー社長は"その先"になにを見据えているのかを。
 

次ページ「ガンバのユニホームを来ていこうと決めてました(笑)」

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