「ここで話している以上に何十倍も難しい」。本田の言葉が映し出すハリルジャパンの現在地

2018年03月22日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

もちろん、それができれば理想だろうが…

練習入りする本田。マリ戦、もしくはウクライナ戦で「クオリティ」を示せるか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト編集部)

 3月23日のマリ戦、同27日のウクライナ戦に向けてリエージュで練習を行なう日本代表。3月21日の練習後のミックスゾーンでなにより引っかかったのは、本田圭佑の言葉だ。彼自身。裏を取るプレーが「もともと得意ではない」とし、それでも縦の速さにこだわるヴァイッド・ハリルホジッチ監督の「意図は分かる」と言ったうえで、強調していたのが「絵の描き方」だった。
 
「誰が、どこに、どのタイミングでというものは当然ながら大事になってくる。ただ、(選手のキャラクターに関わらず)誰が(ボールを)持ってもということになれば論外ですから、どのタイミングでもというのも論外ですから。自分の強みではないと言いつつも、確かに僕がこれまで点を取ってきた時も意外に裏に抜け出ていたし、結局、1本取ればいいんですよ。大事な場面で。
 
 ということは本数よりも、質は必ず問われるわけなので。特に僕みたいにそういうのを得意としていない選手は、その質がなによりも大事。めちゃめちゃスプリントが得意な選手だったら、20本、30本抜けることは慣れているけど、僕の場合は20本、30本やったら他のプレーがボロボロになってしまう可能性があるので。だから、自分の強みを生かしながら監督が求めるものも出して、結果、点が取れる、その絵を描かないと。それはここで話している以上に何十倍も難しい作業です」
 
 引っかかったのは「ここで話している以上に何十倍も難しい作業」という部分だ。「自分の強みを生かしながら監督が求めるものを出す」──。この日ミックスゾーンで囲み取材に対応した槙野智章も、そして柴崎岳も同じようなニュアンスのことを言っていた。
「監督に言われたことを全うするんじゃなくて、それプラス、自分の中で輝けるもの、良さを出していければと思っています」(槙野)
 
「求められたことを試合で表現したいと思っていますし、プラス自分の特長も出したい」(柴崎)
 
 もちろん、それができれば理想だろう。しかし、現代表がハリルホジッチ監督の求めているものを出せているかと言われれば、正直、強く頷けない。

 ポジティブな内容に映ったベルギー戦も、結局のところ、ゴールを奪えずに負けているのだから、結果的には褒められない。ある程度守備はできていたとしても、攻撃の部分は未完成。そう考えると、本田の言葉──「ここで話している以上に何十倍も難しい作業」にはやはり重みを感じてしまう。
 
 ハリルホジッチ監督もミーティングで、"このままでは突破するのは厳しい。自分たちの現状を知らないといけない"という話をしているそうだ。

 ハリルホジッチ監督の戦い方にもなれていない選手(例えば初招集の中島翔哉)もいるなかで、どうワールドカップへの準備を進めるのだろうか。もはやテストをしている時間はないようにも思えるが……。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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