なぜ元名古屋のリネカーは今も愛されるのか? 英国人記者が読み解く人気の背景「他の解説者とは一線を画すSNS力」

2018年03月22日 スティーブ・マッケンジー

目の肥えたファンのハートを鷲掴み!

英国内で確かな人気を得ているリネカー。その背景にあるものとは? (C) Getty Images

 プレミアリーグのピッチ上での戦いは常に競争的で、その激しさは世界的に見ても稀有なものだと私は思う。そして、その激しい争いは、ピッチを離れても行なわれている。解説者たちによる人気争いだ。
 
 イングランドには、各局にお抱えの解説者たちがいる。いずれもプレミアリーグのメガクラブで活躍した名手たちで、英国のフットボール・ファンたちにはよく知られた顔ぶれだ。
 
 例えば、『Sky Sports』には元マンチェスター・ユナイテッドのDFガリー・ネビル、元リバプールのDFジェイミー・キャラガー、さらには元アーセナルFWのティエリー・アンリらがいる。そして英国国営放送『BBC』は、元イングランド代表FWであるアラン・シアラーとイアン・ライトの2人を抱えている。

 

 現役時代にはファンから愛された彼らも、引退後も同様に人気を博すかは約束されていない。往年の名手と言えど、目が肥えているうえ、地元クラブを愛する傾向が強いイングランドの視聴者から人気を得るためには、自身が確かな見識を持っており、なおかつ平等な目線で試合を見ていることをアピールしなければならないのだ。
 
 そうした解説者の人気争いのトップをひた走っているのは、『BBC』と契約を結んでいる元レスターのガリー・リネカーだろう。
 
 レスターだけでなく、エバートン、トッテナム、バルセロナ、そして日本の名古屋グランパスでプレーした彼は、常に紳士的であり、誰もが認めるフットボール観とトークスキルを有し、辛辣な国内のフットボール・ファンのハートを鷲掴みにしている。

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