U-20で共闘したCBも認める”怖さ” 16歳・久保建英が「得意な形」で決められた理由

2018年03月15日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

新潟戦で見せた縦で勝負をするパターンは久保の十八番だからこそ...

わずか7分で結果を出した久保。ゴール後はサポーターの下に走り、トップチーム初得点の喜びを分かち合った。写真:田中研治

[ルヴァン杯]FC東京 1-0 新潟/3月14日/味スタ 

 70分にピッチに送り込まれたFC東京の久保建英が、わずか6分で決勝弾を叩き込んだ。
 
 14日に行なわれたルヴァンカップ・2節の新潟戦。髙萩洋次郎の縦パスをオリヴェイラが落とすと、久保は前を向いた状態でボールを受ける。ゴールまでの距離は20メートルほど。ペナルティエリア内でDFが構えていたが、躊躇することなく仕掛けていった。
 
 一気に加速すると、久保は外に逃げるようなドリブルから左足を一閃。角度のないところから放たれた一撃は、右サイドネットに突き刺さり、試合の均衡を破るゴールを奪った。
 
 トップチーム初得点がルヴァンカップ史上最年少弾。衝撃のファインショットにFC東京サポーターは盛り上がり、味の素スタジアムの熱気は最高潮に達した。
 
 試合後、久保はこのゴールを振り返り、きっぱりと言い切った。

「自分はあの形が得意だと思っている」
 
 "中に入るのではなく、敢えて縦で勝負する"このパターンは、実は開幕前の練習試合でも披露し、実際にゴールも決めている。

 2月18日に行なわれた横浜戦。小川諒也のパスを受けた久保はチームの1点目を同様の流れから奪っており、新潟戦で決めた形には絶対の自信を持っていた。
 
 とはいえ、"得意な形"を持っているだけでゴールを奪えるほどJリーグは甘くない。それを発揮できる状況がなければ、宝の持ち腐れである。

 ではなぜ、必勝パターンを繰り出せたのか。それは相手に"怖さ"を与えたからだ。得点場面で久保とマッチアップした相手CBの原輝綺はこう語る。
 
「失点の場面では永井選手が外から中に割って入ってきた。なので、(久保の)マークを捨てようかなと思ったけど、ボールを持っているのが建英だった。だから、彼に中央に割って入られると思ったので、外を捨てて中に絞るしかなかった」
 
 東京五輪世代注目の守備者は、久保と昨年5月のU-20ワールドカップで共闘しており、特徴は把握済み。しかし、16歳が漂わせた危険な香りに惑わされ、外へ逃がす判断を下した。その結果、久保は難なく得意な形に持ち込み、冷静にシュートを流し込んだというわけだ。
 
 "得意な形"での決勝弾を引き出したゴール前での"怖さ"。新潟の有望株にそう感じさせた事実が、久保が普通の16歳ではないことを物語っている。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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