連覇を狙う前橋育英に死角あり?課題のメンタル面を成熟させられるか

2018年03月11日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

「去年もいいチームだったけど、今年は今年」(若月輝)

10日のプーマカップでは攻撃陣が良さを出した一方で課題も残した。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

 昨年末の選手権を制してから早2か月。王者の前橋育英が新たなシーズンを迎えた。

 下級生の時からレギュラーポジションを掴んでいた選手が多かった昨年度とは異なり、今年度は下級生の時に出場機会を得ていた者が少ない。最前線の榎本樹や室井彗佑、ボランチの秋山裕紀以外は、経験値の部分で不安を残す。

 加えて、今年度は王者として追われる立場。県内だけではなく、全国の強豪校が"打倒前育"を目指して挑んでくる。プレッシャーは以前の比にならず、目に見えない敵とも戦いながら、連覇を目指す1年になるのは言うまでもない。
 
 早速、2月の群馬県新人戦は決勝で桐生一にその洗礼を受け、準優勝に終わった。チームリーダーを務める若月輝も大会を振り返り、「新人戦はチャンピオンという変な余裕があって、選手権王者という変な自信もあった。それが過信になった」と自分たちの甘さが出たことを認める。
 
 そこで、本当の意味で問題点に気が付ければ良かった。しかし、試行錯誤をしているのが現状だ。
 
「あそこで負けたからこそ、自分たちはまだ何もやっていないと言うことに気づいた」という若月の言葉通り、敗戦直後は選手個人で考えているところもあった。

 しかし、時間が経つと、再びチームは元の状態に逆戻り。「心に余裕が出てきて、甘いところがまた出てきた」(若月)
 
 だからこそ、山田耕介監督は事あるごとに言葉を掛けている。

「チャンピオンになったのはお前たちではないから、また下から這い上がっていくぞ」
 
 3年生が卒業するため、2種年代のサッカーは毎年選手が大幅に入れ替わる。そのなかで結果を積み重ねていくため、代が変われば1からのスタートとなる。
 
「去年のメンバーが何人か残っていますけど、これからという感じだと思います。いかに去年のチームを超えられるかが大事」と榎本が語るように、先輩たちを意識してしまうこともある。それでも、自分たちと向き合いながら、メンタル面を成熟させられるか。

「今年も悪くないと思う。楽しみ。榎本、秋山、室井もいる。DFも岡本とかが183センチあって面白い。選手権未出場組の2年生が波崎の大会で優勝をして、レギュラー格が7人いなくても勝てたのは凄いよ」と指揮官が言うように、今年度のチームも好タレントが揃った。そのポテンシャルを開花させるためにも、奢らない姿勢で、日々のトレーニングに取り組むことがカギとなる。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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