さらなる飛躍のために——前橋育英に選手権優勝をもたらした榎本樹に求められるエースとしての自覚

2018年03月11日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

「伸びしろはある。身長が大きい割に足下が柔らかい」(山田耕介監督)

昨年、大きく飛躍を遂げた榎本。もう一皮向けるためにはメンタル面の成長が必要だ。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

 ゴールが決まった瞬間、2年生ストライカーは一躍ヒーローとなった。

 昨年末の選手権決勝・流経大柏戦。前橋育英の榎本樹(新3年)は0‐0で迎えた後半アディショナルタイムに、チームに初の選手権制覇をもたらす殊勲弾を決めた。
 
 あれから3か月。王者・前橋育英は追われる立場となるなかで、新チームの強化に励んでいる。

 その軸に据えられた榎本は、類まれな得点感覚と186センチの体躯を生かしたダイナミックなプレーで存在感を発揮。エースの証である背番号9を背負い、タイガー軍団のアタックを牽引している。
 
「いろんな人に見られているので結果にこだわりたい。自分が変なプレーをしてしまったら、周りから言われてしまうので責任がある」
 
 高校生活ラストイヤーを最高の形で締めくくるべく、強い決意をもって榎本は新たな一歩を踏み出した。
 
 山田耕介監督は「伸びしろはある。身長が大きい割に足下が柔らかい」というポテンシャルを高く評価する一方、まだまだ物足りないとも話す。とりわけ、注文を付けたのがメンタル面だ。
 
「心の強さはもっともっと持ってほしい」
 
 これは昨年から言われていたことでもある。しかし、先輩という"お目付け役"がいたことで襟が正され、ルーズな面はあまり表に出てこなかった。支えてくれた3年生たちが卒業すると、自分が最高学年を迎えたことで気が緩み、その悪癖が再び顔を出してきたというのだ。

 その問題点は自身でも認識をしている。
 
「学校では悪い方向に流れてしまうことがある。みんながやっているから、俺もみたいなところがある。それは(チームリーダーの若月)輝にも言われているので、改善しないといけない」
 
 シーズンはまだ始まったばかり。逆に言えば、精神面が成熟していけば、プロ入りも十分に見えてくる。「もっとしっかりしてもらいたい」という山田監督の期待に応えることが出来るのか。ポテンシャルはあるだけに、榎本の飛躍のために不可欠なのは自分を律する作業だ。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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