ガンバが獲得した「5番目の助っ人」はモデルチェンジの特効薬となれるのか

2018年03月09日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「連れてこようと思っていた」選手がマテウスだった

ブラジルの俊英ボランチ、マテウスはガンバの新戦術にハマるのか。ポテンシャルは一級品だ。(C)Getty Images

 プレシーズン中の嫌な予感が現実のモノとなった。
 
 ブラジル人指揮官のレヴィー・クルピを招聘し、攻撃的なスタイルへの転換を図るガンバ大阪だが、新チームは始動直後から試行錯誤が続いている。J1で開幕2連敗を喫し、ウイークデーのルヴァンカップではホームのパナスタで0-4の惨敗を喫する大失態。3試合で2得点・8失点は、看過できない数値だ。攻撃のバリエーションが乏しく、守備はカウンターに脆い。クルピ監督は活きのいい若手にチャンスを与えているものの、ベースが構築できていないなかでは力も発揮できないだろう。モデルチェンジの前途は多難な印象である。

 
 そんななか、クラブは3月8日に新外国籍選手の獲得を発表した。ブラジルU-20代表歴があるマテウス・ジェズスで、左利きの大型ボランチだ。昨年夏にポンチプレッタからポルトガルのエストリルに移籍。5年契約を結んだうえで、すぐさまサンパウロにレンタルで貸し出される予定だったが、交渉は決裂し、サントスが引き取り手となった。そこでクルピ監督の薫陶を受け、ブラジル全国選手権の躍進に貢献した。
 
 今回もローン契約で、エストリルからの借り受けになる。レンタル料は公表されていないが、ブラジルでも将来を嘱望される逸材のひとりだけに、相応の高額だろう。来日直後のクルピ監督に話を訊いた時、「ひとり連れてこようと思っていた選手がいたが、まずはいまいる(外国籍)選手の力量を見極めてからだね」と話していた。それがマテウスだったというわけだ。そうした会話があったことは梶居勝志・強化アカデミー部長も認めており、「必要とあれば(3月末の登録期限までに)ひとり獲る可能性はある」と、含みを持たせていた。

 
 新チームに圧倒的に不足しているのは、中盤でのダイナミズムであり、攻撃のクリエイティビティーだ。もっと言えば、試合の展開や時間帯によってリズムを変えられず、柔軟性に欠ける。今野泰幸が離脱中のセントラルMFには市丸瑞希、福田湧矢、矢島慎也ら若手・中堅が登用されていて、いずれも近未来のガンバを背負って立つだろう好タレントながら、いかんせん、トップリーグで主軸を張った経験がない。継続性を考えても、心許ないのだ。
 
 その意味で、マテウスは適材だろう。関係者によれば、187センチ・80キロのサイズを利したハードチャージが最大の売りながら、運動量が豊富で広範囲をカバーでき、左足から放つ精緻なパス、シュートで攻撃面の貢献も大いに期待できるという。いわば、現バルセロナのブラジル代表MFパウリーニョに似たボックス・トゥ・ボックス型。20歳と若いが、実力は折り紙付きだ。

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