【蹴球日本を考える】川崎だけじゃない! Jリーグに必要なスライディングに頼らない守りと地を這うシュート

2018年03月08日 熊崎敬

冷静に対処すべきところで一か八かの博打のようなプレーをしてしまった。

ACLでは開幕3試合でいまだ白星のない川崎。グループ突破は苦しい状況となっている。写真:徳原隆元

[ACL・3節]川崎 2-2 メルボルン・ビクトリー/3月7日/等々力
 
 Jリーグ王者が早くもグループリーグ敗退の危機に立たされた。2連敗で迎えたホームでのメルボルン・ビクトリー戦は2-1とリードしながら、終了間際にPKを献上。手中にしかけていた勝利を取り逃がした。
 
 勝点2を失った最大の要因は、やはりPKを誘発した奈良のタックルだ。
 
 1点のリードで迎えた終盤、守備者は警戒レベルを一段と上げなければならない。特にペナルティエリア内では、なおさらだ。だがドリブルで突っ込んできた敵に向かって、奈良は大胆にスライディングを仕掛けてしまった。
 
 ゴール前を固めるCBにとって、スライディングは最終手段だ。粘り強く敵の動きについていき、ゴールへの道筋を抑えながらボールを奪わなければならない。その慎重さが奈良には欠けていた。
 
 冷静に対処すべきところで、一か八かの博打のようなプレーをしてしまう。これは奈良がまだ、DFの精神を身につけていない証かもしれない。
 
 こうしたペナルティエリア内での不用意なスライディングは、実はJリーグではそう珍しいものではない。それは高校年代で、スライディングが守備の手段として積極的に用いられていることと関係があるかもしれない。
 
 もう一度書くが、スライディングは最終手段。かわされたり、引っかけたりしたら取り返しがつかないのだから、まずは飛び込まずに守る術に磨きをかけるべきだろう。
 
 守りのことばかり書いてきたが、川崎が引き分けた要因は攻撃にもある。それはシュートの精度の低さだ。敵の3倍以上となる14本のシュートを放ちながら、多くはバーの上を超えていった。
 59分の車屋の一撃がそうだったように、巧みにパスをつないで決定機を作っても、最後にフカしてしまう場面が少なくない。
 
 こうしたシーンを見ていて思うのは、低いシュートを撃てないものかということだ。バーを超えるシュートは100%決まらない。だが低い弾道のシュートは枠を捉える確率が高く、GKの正面を突いてもこぼれるかもしれないからだ。
 ちなみにイタリアでは、グラウンダーの強いシュートを、地面を削るという意味で《ラゾテッラ》と呼ぶらしい。
 
 私たちは何気なくシュートを撃つ時、ネットを突き上げるような弾道を蹴ろうとする。そのほうがスカッとするからかもしれない。Jリーグの試合前、あるいはハーフタイムのシュートを見ていても、そういうものが多い。
 
 スライディングに頼らない守りと地を這うシュート。このふたつが浸透したら、Jリーグはより引き締まったものになると思う。
 
取材・文●熊崎 敬(スポーツライター)

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