【リーガ】R・マドリー相手に“受けて”はならない。乾の存在も最大限に活きる「個」と「個」の対決

2018年03月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

今週末、乾貴士が所属するエイバルがレアル・マドリーと激突!

ボールを支配する相手に対してエイバルはショートカウンター。得意のパターンで乾は持ち味を発揮できるか。 (C)Getty Images

 エイバルとレアル・マドリー。今週末(3月10日)に対戦する両チームだが、前節の試合ぶりから明らかになったことがいくつかあった。
 
 デポルティボと引き分けたエイバル(1-1)は、やはりボールを持たされる展開では本来の力が発揮できない。相手が前半のうちに退場となり、べた引きされてスペースがなくなると攻撃が手詰まりになってしまう。エイバルの持ち味は激しいプレスでインターセプトすると、一気に相手ゴールへ殺到するショートカウンター。そのため、狭い所を細かいパスを繋いで崩すことには慣れていないのだ。
 
 その象徴が乾貴士だった。右からのセンタリングに大外から回り込みフィニッシュする、戦術的に確立されたパターンでゴールを決めたが、74分に代えられてしまった。相棒のSBホセ・アンヘルがサイドに上がりっぱなしになると、乾は内に入らざるを得ない。
 
 相手の人の壁ができているところで静止してボールを受けても、飛び出すスペースがなくスピードが活かせない。また、逆足(右利き)の左サイドなので対角線侵入は得意でも、唯一スペースのあるコーナーフラッグ付近に縦へ抜けるのは苦手だ。乾に代わって入った右利き右サイドのアレホが次々と縦に抜けて危険なセンタリングを上げたので、一層、乾との違いが際立つことになった。
 
 とはいえ、こういう状況はマドリー戦では起こりそうもない。ボールを支配する相手に対しエイバルはショートカウンターを狙い続けるはず。「ならば先発は乾」とメンディリバル監督の心は決まっているはずだ。
 
 メンディリバル監督には、マドリーに敗れたヘタフェ(3-1)のプランニングミスも教訓となったに違いない。ヘタフェのボルダラス監督は本来の2トップの4-4-2ではなくホルヘ・モリーナ、柴崎岳をベンチに置き1トップにアンヘル、その下にファジルを置いた守備的な4-4-1-1で臨み、良さを出せないまま敗れた。今のマドリード相手に"受けて"は駄目なのだ。
 
 前々節エスパニョール戦で敗れるなど不安定なパフォーマンスが続くジダン監督のチームの問題の一つは、モチベーションにある。クラブも監督も選手たちも認めていることだが、彼らの気持ちはチャンピオンズリーグに傾きつつある。王者のプライドもあるし超一流のプロフェッショナルたちでもある。しかし、例えばヘタフェ戦で、パリ・サンジェルマン戦に備えてマルセロやクロースを温存する姿勢が選手に伝わらないとすれば嘘である。
 
 メンタリティは非常に微妙で同時に決定的だ。どんなタレント集団もアグレッシブでなければ闘争心あふれる格下に簡単に足下をすくわれる。エイバルが付け入る隙は大いにある。
 
 メンディリバル監督はどんな相手にも戦い方を変えない。そんな指揮官の性格を反映したエイバルは、試合開始後から猛ラッシュを掛けるだろう。冷たい雨が予想されているエイバルで、滑り出しの身体も心も温まっていない状態の時に気持ち的に受身に立たせること、ここからエイバル勝利のシナリオが始まる。
 
 ジダン監督がどんなメンバーで臨んでくるかは未知数だ。モドリッチ、クロースのケガの回復具合、パリ・サンジェルマン戦後にどの程度の休養を必要とするかもわからない。彼らのうち1人が欠けてもボールキープ力は格段に落ち、エイバルのプレスに引っ掛かる可能性は高くなるだろう。

次ページ乾にとっては、バルセロナ同様にやり易い相手。

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