アルゼンチン人指揮官も切望した人材――茶島雄介は千葉のサッカーで覚醒するか?

2018年03月06日 竹中玲央奈

「今までの自分は甘かったな、と思うくらい、サッカーにすべてを賭けている」

東京Vとの開幕戦にもスタメン出場した茶島。チームはいまだ白星がないが、昨季同様の攻撃的なサッカーを見せている。写真:徳原隆元

 過去、日本代表クラスの才能ある選手を次々と輩出してきたことで名高い広島ユースのなかで、トップチームへの昇格を逃しながらも大学を経由して戻ってきた初めての選手が茶島雄介である。
 

 入団して1、2年目のシーズンはなかなか出場機会に恵まれなかったが、2015年のクラブワールドカップで抜群の存在感を示し、2016年には22試合に出場して2得点を記録した。そして迎えた昨シーズン、彼はクラブの象徴的存在でもある森崎浩司が長年背負い続けた背番号7を引き継いだのである。寄せられた期待の大きさは言うまでもない。だが、その期待に彼は応えられなかった。
 
 そして、プロ5年目を迎えた2018年、茶島は千葉への移籍を決断し、開幕から2試合連続でスタメン出場を果たした。入団して間もないなかで信頼をされているのも、2シーズン目を迎えるアルゼンチン人(スペイン国籍も有する)のフアン・エスナイデル監督が茶島の獲得を切望していたからだ。
 
「僕自身ずっと広島でやってきて、広島でやりたいという気持ちは一番にありましたけど、去年の自分の結果というか、プレーができなかった悔しさがありました。その中で、去年の夏から千葉から話はもらっていて、シーズンが終わったあとに『来てくれ』と。そこで熱い思いを聞かされて、移籍しようと」
 
 茶島は移籍の経緯をこう語るが、決断させたのはクラブの熱量だけではない。エスナイデル監督の志向するハイライン・ハイプレスをベースにした攻撃サッカーと、オフ・ザ・ピッチでの取り組みが、彼の移籍を前向きにした。
 
「千葉のやっているサッカーとか日頃の取り組み、サッカーをするための食事面やフィジカルトレーニングという部分。今まで自分も意識高く取り組んできたつもりでしたけど、実際に入ってみてそれ以上のものがあると思いましたし、今までの自分は甘かったな、と。そう思うくらい、サッカーにすべてを賭けている感じがする。監督も『サッカーのためなら当たり前でしょう』と言っているのですが、そこにすごく共感できるので前向きにやれています」

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