【現地発】3連勝で急上昇のシュツットガルト! その要因は? 浅野拓磨にチャンスは!?

2018年03月02日 中野吉之伴

サポーターも冷ややかな反応だった就任当時

3位にフランクフルトに対し、再三カウンターで脅威を与えた24節。現在、勝点30の12位だが、欧州カップ圏内の5位(RBライプツィヒ)との勝点差は8しか離れていない。 (C) Getty Images

 シュツットガルトの好調が続いている。ブンデスリーガ第24節では3位フランクフルトにホームで勝利し、これで3連勝を飾った。
 
 監督交代の刺激をうまく活かして、流れを変えた。
 
 13節ハノーファー戦から20節シャルケ戦までのあいだに挙げた勝利はわずかにひとつ……。ハネス・ヴォルフ前監督が行なっていたチーム作りに対する、首脳陣からの評価は高かったが、残留を目指すクラブとしては、早急な変化が必要だったのも理解できる。
 
 2年前、悪い流れを止めることができないまま2部リーグ降格となってしまったことも脳裏をよぎったのだろう。シャルケ戦を0-2で落とすと、クラブはヴォルフ監督の更迭を決断した。
 
 トーマス・トゥヘル、マルクス・バインツィール、ルシアン・ファブレ、イェンス・ケラーと、多くの名前が候補に挙がっていたが、最終的に後任監督として就任したのが、タイフン・コルクトだった。
 
 歓迎されての就任だったわけではない。ファンの反応は当初、冷ややかなものだった。最初のトレーニングでは練習場に約300人のファンが訪れていたが、応援もブーイングもなく、沈黙だけがその場を支配していた。
 
 SNSでは、ミヒャエル・レシュケSDへの批判も少なくない。タイフン監督は昨シーズン、下降線だったレバークーゼンでロジャー・シュミットの後を継ぎ、最低目標の1部残留こそ果たしたが、内容的に良いものがあまり見られなかったことが要因のひとつのようだ。
 そんな周囲からの疑念に対して、タイフン監督は落ち着いて対処しようといていた。就任後、最初のウォルフスブルク戦を1-1の引き分けで終えた後、『ビルト』紙のインタビューにこう答えている。
 
「練習の雰囲気は、そこまで悪かったわけではない。大事なのは、本質的な点に集中して取り組むこと。周りでの騒ぎは、自分でシャットアウトすることができる。だが、ファンのサポートがなければ、最後の数パーセントが欠けてしまう」
 
「ファンとクラブのあいだに緊張感が走るのは、よくあることだ。だが、異なる見解がチームに影響を及ぼすようなことはあってはならない。スタジアムでは、ファンはチームをサポートしてくれると思うよ。それに対して我々は、ピッチ上のプレーで応えなければならない」
 
 そして実際に、選手はそこからの3連勝という答えを出し、ファンも再浮上を喜んだ。
 
 キャプテンのクリスティアン・ゲントナーはフランクフルト戦後、「監督は最初から、それぞれがサポートを感じられるように、ピッチ上での安定した組織の重要さを協調していた」とコメントしている。
 
 守備の安定だけであれば、ヴォルフ監督時代にもあった。タイフン監督が加えた変化は、前線での起点作りだった。それまではジモン・テロッデ(冬にケルンへ移籍)かマリオ・ゴメスの1トップだったが、前線で孤立することが多く、攻撃はいつも単発止まりだった。
 
 そのため、タイフン監督は2トップに変更し、ダニエル・ギンチェクをゴメスと並べて起用。ともにボールキープ力が高く、ペナルティーエリア内で仕事ができる点が魅力だ。そして、前線からの迫力のあるプレスで守備でも貢献。効果的な攻撃が可能になった。

次ページ浅野の我慢の時は続くかもしれないが…

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