[若手スピードスター分析(3)]デンベレの才能は一級品。バルサで生き残れるか?

2018年03月01日 ロベルト・ロッシ

流れるような動作で先手を取って加速し、抜け出していく。

ウスマンヌ・デンベレ
●所属クラブ:バルセロナ
●代表チーム:フランス代表
●生年月日:1997年5月15日
●身長・体重:178cm・67kg

 一瞬のアジリティーや爆発的な加速で違いを作り出す「スピードスター」は、いつの時代もフットボールに熱狂を誘う存在だ。その新世代と言えるレロイ・ザネ(マンチェスター・C)、キリアン・エムバペ(パリSG)、ウスマンヌ・デンベレ(バルセロナ)、クリスティアン・プリシッチ(ドルトムント)という4人のヤングガンは、それぞれどんな特徴を持っているのか。現役イタリア人監督が各々を徹底分析する。第3回は昨夏にバルサに巨額で引き抜かれたデンベレだ。
 
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 開幕して間もなく怪我で長期離脱を余儀なくされ、年明けに復帰したものの再び故障離脱と運がなく、バルセロナに移籍した今シーズンはまだほとんどプレーしていない(公式戦通算で380分間)。とはいえ、ドルトムントから獲得する際の移籍金がボーナス込みで1億4500万ユーロ(約188億円)の巨額だった事実が物語る通り、才能に疑いの余地はない。
 
 同じ身長のエムバペと比べるとやや細身の体格にしなやかな筋肉をまとっており、最大の強みは軽やかでスムーズな身のこなしによる初動の速さと高いテクニックを活かしたオープンスペースでのドリブル。柔らかく精度が高いボールコントロールを活かしDFから遠いところにボールを置くと、そのまま流れるような動作で先手を取って加速し、抜け出していく。
 
 左利きながら右足もかなりのレベルで自然に使いこなすため、相手からすると左右どちらから仕掛けてくるか予想がつけにくい。絶対的なスピードは短距離の加速でもロングスプリントでも飛び抜けているわけではないが、身のこなしにまったく淀みがないため敵は後手に回ってしまう。
 
 トリッキーなテクニックや意外性のあるフェイントは持っておらず、狭いスペースで相手を揺さぶり翻弄するよりは、ゴールから遠い、ある程度のスペースがあるゾーンで前を向いてのドリブルで違いを作り出すタイプ。ロングカウンターはもちろん、ドルトムントでしばしば見せたような敵陣でのボール奪取からスピードに乗って一気に相手ゴールに迫るショートカウンターは、相手にとって大きな脅威だ。

次ページ左右どちらのサイドでも違いを作り出す。

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