【FC東京】浦和戦で好印象。それでも久保建英をスタメンにすべきではない理由

2018年02月28日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「あとは攻撃」の部分がなかなか難しい

途中出場でまずまずのインパクトを残した久保だが、守備面での仕事はまだまだか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1・1節]FC東京1-1浦和/2月24日/味スタ
 
 スペクタクルではないが、手堅い。これが、FC東京×浦和戦の印象だった。双方とも組織立った守備で敵の攻撃の芽を摘みつつ速攻からゴールを狙う展開だったが、その傾向がより濃かったのはFC東京のほうだろう。
 
 DFとMFの2ラインがしっかりとブロックを築き、流れの中から浦和に決定機を与えない。とりわけ素晴らしかったのは森重とCBコンビを組んだチャン・ヒョンスで、この韓国代表DFはゴール前に文字通り壁の如く立ちはだかった。
 
 だが一方で、FC東京は攻撃に迫力を欠いた。仕掛けや崩しの局面では2トップの一角を担ったディエゴ・オリヴェイラの個人技に依存する傾向が強く、連動したアタックはほぼ皆無。髙萩のスルーパスに反応した東が先制点を決めたシーンを除けば、決定機らしい決定機はなかった。
 
 途中出場の久保が小気味いいパスワークでリズムを生み出し、試合終盤はゴールに迫る場面もあったが、それでも90分通して攻撃の形はあまり見えてこなかった。
 
 浦和戦だけで判断するかぎり守備はある程度できているので、あとは攻撃、という見解になる。だが、「あとは攻撃」の部分がなかなか難しい。サッカーは、攻撃と守備とで切り離せないスポーツだ。この日のFC東京の守備が素晴らしかったのは、FWの前田がハイプレスを怠らず、サイドハーフの大森が自陣深くまでケアしていたからでもある。
 
 前田はノーゴールという点で、大森はドリブル突破が少なかったという点で不満は残るものの、彼らの貢献なしに強力な守備網は形成できなかった。実際、森重も次のように話している。「前線からしっかり守ってくれたので、最終ラインにいる僕たちの仕事は少なかった」と。
 

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