『ワールドサッカーダイジェスト』特派記者が見たCL決勝 勝負を分けたポイントは――

2014年05月25日 西尾純哉(ワールドサッカーダイジェスト)

2枚同時にカードを切った59分の采配に大きな意味。

モドリッチ(右)をアンカーに下げた修正で、パスの流れがスムーズに。徐々に攻勢を強めたマドリーが、じわじわとアトレティコを追い詰めていった。 (C) Getty Images

 ポイントは選手交代、つまりレアル・マドリーのカルロ・アンチェロッティ監督が2枚同時にカードを切った59分の決断だ。サミ・ケディラに代えてイスコ、ファビオ・コエントランに代えてマルセロを投入した采配が、大きな意味を持っていた。
 
 イスコをインサイドハーフに入れ、ケディラが務めていたアンカーに下がったルカ・モドリッチがパスの流れをスムーズにすれば、マルセロは持ち前の推進力を発揮して左サイドを活性化。この交代策がアトレティコ・マドリーにプレッシャーをかけたのは間違いなく、90分まではほぼ完璧だった守備陣が、心身の疲労からロスタイムのCKで一瞬、綻びを見せるのだ。集中が途切れ、走り込むクリスチアーノ・ロナウドに気を取られ、同点ヘッドを決めたセルヒオ・ラモスをフリーにしてしまった。
 アトレティコにとって痛かったのは、開始9分でベンチに下がったジエゴ・コスタの早すぎる負傷退場だ。交代出場のアドリアン・ロペスは、一時的に小気味いい動きで起点になったものの、タメを作って押し上げを助ける仕事はできず、後半以降はほぼ消えていた。結果、延長戦のアトレティコは攻めの形を作れず、成す術がなかった。
 
 累積警告で欠場した司令塔シャビ・アロンソの穴を何とか埋めたマドリーと、主砲D・コスタの穴を埋められなかったアトレティコ。そう結論づけてもいいだろう。
 
取材・文:西尾純哉(ワールドサッカーダイジェスト)
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