【柏】ACL天津権健戦の“左SB”中山雄太が意味する“ニュー・レイソル”の片鱗

2018年02月22日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

中山雄太だからこそできる新たな攻撃の形。

ACLの天津権健戦では、万能型の中山を左サイドバックに起用した。写真:山崎 賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[ACLグループステージ2節]柏 1-1 天津権健/2月20日/柏
 
 ACLグループステージ2節、1-1のドローに終わった天津権健戦で、最終ラインの編成について柏の下平隆宏監督が興味深い発言をしていた。
 
「パク・ジョンスはビルドアップもできる。彼の高さと強さはアジアでも戦っていける(から起用をした)。それに伴い中山雄太を左サイドバックにして、システムにおける攻撃の形を少し変更した」
 
 パワー対策としてパク・ジョンスをセンターバックに起用し、左サイドバックだけでなくボランチにも適応できる万能型の中山を左に回す。守備面におけるその采配は先発メンバーを見た時点で容易に想像できたものの、ゲームが始まって目に留まったのは「攻撃の形の変更」だ。
 
 ユン・ソギョンや亀川諒史であればタッチライン際に位置する左サイドバックだが、中山は攻撃時にボランチのポジションでプレーをしていたのである。これは、ユーティリティープレーヤーの彼だからこそ、体現できるシステムだ。
 
 その効果は2つの面で現われた。
 
 まず1つ目は、ボランチのキム・ボギョンが本職のトップ下に近い位置でプレーできた。いっそうオフェンスに専念できた韓国代表MFは、チーム内最高の85本のパス数を記録(AFC発表)しており、攻撃の中心として機能していた。
 
 2つ目はハモン・ロペスへのサポートだ。中山が中央寄りに彼をフォローすることで、左サイドハーフのブラジリアンは、利き足である左足に持ち込みやすいアウトサイドのプレーがより自由になった。
 
 もちろん、引き分けに終わったのだから、成果が完璧に表われたわけでもなく、まだチャレンジの段階だろう。とはいえ、25本のシュートを浴びせるほどの猛攻を仕掛け、指揮官が「選手たちはよく機能させてやってくれた」と称えたのも頷ける。
 
 中山の左サイドバックが基本システムになるとは断言できなくても、ひとつのオプションとして今季の"ニュー・レイソル"は一見の価値ありだ。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)

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