【現地発】英国を騒がせたポグバとモウリーニョの確執報道はなぜ起きたのか?

2018年02月22日 山中忍

サンチェスの加入が分岐点に?

ベンチ前で意見を激しくぶつけ合ったポグバ(右)とモウリーニョ(左)。この言い合いが英国メディアで大きく扱われ、物議を醸している。 (C) Getty Images

 2月初旬、英国メディアで騒がれたのは、名門マンチェスター・ユナイテッドの内部摩擦だった。
 
 当事者の1人である指揮官のジョゼ・モウリーニョは、これを「メディアの大嘘だ」と否定したが、物議を醸したプレミアリーグ第27節のニューカッスル戦(●0-1)で、不仲が指摘されたポール・ポグバが66分に交代を命じられる前に示したボディーランゲージは、「事実」を物語っているように見えた。
 
 ポグバが投げやりな態度を露わにした主因に挙げられるのが、モウリーニョから守備面の負担が多いボランチで起用されていることだ。ニューカッスル戦でもベンチに下がる1分前、無気力な競り合いで失点に絡んでいた。
 
 そんなポグバの代役に立てられたのは、マイケル・キャリック。攻守のバランス感覚に長けているとはいえ、今シーズンのプレミアリーグで未出場という36歳のベテランとの交代に、24歳のフランス代表MFは苛立ちを隠せずにいた。
 
 英国内では、ポグバの最大の持ち味であるダイナミックかつテクニカルな攻撃センスをフル活用しないモウリーニョの采配に対する疑問の声も上がってはいる。ポグバは、いずれもマン・オブ・ザ・マッチ級の出来を見せた1月1日のエバートン戦(○2-0)と同月15日のストーク戦(○3-0)で、自身が4-3-3の左センターハーフで機能することを示していた。
 
 だがチームには、1月の移籍市場でアーセナルからアレクシス・サンチェスが加入。これにより、4-3-3にした場合、左サイドでサンチェスとポグバが揃ってボールを求めて動いてしまうような状態が散見した。
 
 この状況は、守戦を好むモウリーニョにとってはリスクが大きい。そこで、相手ゴールにプレッシャーをかけられるという点でサンチェスに一日の長があることから、指揮官はポグバをボランチに下げる決断を下した。
 
 ユベントスからの出戻り2年目を迎えたポグバのプレーは、攻撃における自由を求めるには説得力に欠けるとも指摘できる。今シーズンのプレミアリーグでの3ゴール・9アシストも、移籍当時、世界最高額の8900万ポンド(約129億円※当時のレート)がついたことを踏まえれば、不十分だ。

次ページモウリーニョの言動は全て愛の裏返しだ。

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