[若手スピードスター分析(1)]ザネの高速カウンターはまさに無敵だ

2018年02月16日 ロベルト・ロッシ

攻撃力に加えて守備的な資質も備える。

レロイ・ザネ
●所属クラブ:マンチェスター・C
●代表チーム:ドイツ代表
●生年月日:1996年1月11日
●身長・体重:183cm・75kg

 一瞬のアジリティーや爆発的な加速で違いを作り出す「スピードスター」は、いつの時代もフットボールに熱狂を誘う存在だ。その新世代と言えるレロイ・ザネ(マンチェスター・C)、キリアン・エムバペ(パリSG)、ウスマンヌ・デンベレ(バルセロナ)、クリスティアン・プリシッチ(ドルトムント)という4人のヤングガンは、それぞれどんな特徴を持っているのか。現役イタリア人監督が各々を徹底分析する。その第1回は名将ジョゼップ・グアルディオラの下で、日進月歩の成長を遂げるザネだ。
 
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 1996年生まれの22歳と4人の中では最も年長であり、すでにマンチェスター・Cというメガクラブで主力として活躍している事実が示すとおり、プレーヤーとしての成長度・成熟度は一歩先んじたレベルにある。
 
 183cmという現代のフットボーラーとしては標準的な体格に抜群のコーディネーションを備え、スピードという観点から見た総合的なクオリティーではエムバペ、デンベレをも上回る。パワーよりはアジリティーに優れる一方で、一旦スピードに乗ってからの加速や伸びもトップレベル。さらに試合終盤でもスプリントの頻度や質が落ちないスピード持久力も素晴らしい。
 
 他の3人と同じくサイドアタッカーを主戦場とするが、フィジカル的にも技術・戦術的にもMF的なタスクへの適応力が最も高い。実際にマンCでは4-3-3のウイングに加えて、3-4-3や3-5-2のサイドハーフ/ウイングバックでも機能している。もちろん最大の持ち味はトップレベルの攻撃力だが、ザネの場合はサイドハーフに求められる守備的なタスクにも対応できる資質も兼ね備えているということだ。
 
 それも含めて、プレーヤーとしての成長/成熟という観点で大きなアドバンテージとなっているのが、ジョゼップ・グアルディオラという名将の下でプレーしていること。ラヒーム・スターリングやケビン・デ・ブルイネと同様、彼もまた世界最高峰の「ペップ・ユニバーシティ」で学ぶことを通じて、戦術的インテリジェンスという面で大きな成長を果たし、より決定的な働きでチームに貢献できるようになった。

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