高校サッカー界の今季注目株!復調のきっかけを掴んだ市立船橋のレフティ・井上怜!

2018年02月11日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

高校選抜唯一の2年生は持ち味を発揮し、先制弾もゲット!

得意のドリブルに加え、シンプルにパスを裁くプレーで高校選抜の攻撃にリズムをもたらした。写真:徳原隆元

 切れのあるターンに機動力を生かしたドリブル。165センチの身体を駒のように回転させ、自身より大きな相手を次々に交わしていく。高校サッカー界の名門・市立船橋で新チームのエース候補と目されるアタッカーが大舞台で輝きを放った。
 
 ゼロックス・スーパーカップの前座として行なわれたネクストジェネレーションマッチ。U-18 Jリーグ選抜を撃破した高校選抜の先制弾は、唯一の2年生井上怜がもたらした。前半26分、田部井涼(前橋育英)が右サイドに展開すると、今冬の選手権得点王・飯島陸(前橋育英)がゴール前にラストパス。このボールに反応した井上は「ゴールはずっと狙っていたので、あとは決め切るだけだった」という絶好機を得意の左足で難なく決めた。
 
 U-16日本代表歴を持つ井上は2年時から市立船橋のAチームでプレー。昨夏のインターハイでは2列目やボランチのポジションで、チームの全国4強入りに大きく貢献した。その出来にJクラブのスカウトからも「良くなったよね」と評価は上昇、全国の舞台でも確かな存在感を放っていた。

 しかし、潮目が変わったのはその直後だ。徐々に調子が下降すると、選手権の県予選ではレギュラー落ち。流経大柏との決勝でも後半途中からピッチに立つも、自慢のターンや創造性豊かなプレーは鳴りを潜め、チームも全国行きを逃す結果となった。
 
 新チームが立ち上がっても、自身の感覚をなかなか取り戻せない。特にボランチでのプレーは思い通りにいかず、「悩みながらプレーしている」と本人も話していた。何故、夏にあれほどのプレーを見せていた男がスランプに陥ったのか。それは球離れの悪さだ。
 
 ドリブルが得意だった井上は夏以降、必要以上にボールを持つ場面が多くなった。受け手を探している間に出しどころを見失い、状況判断が出来ないまま相手に囲まれてボールをロスト。その悪癖が自身の良さを発揮できない要因だった。
 
 チームではレギュラーを争う立場に置かれているが、徐々に調子を取り戻して今回の高校選抜に招集。この試合では復調した姿を見せ、「もっとボールに関わりたい。タッチ数を減らすことは攻撃のテンポを上げるうえですごく大事になる。なので、ドリブルばかりはしていられない。昔であれば、まずドリブルから入っていたけど、今は前に出すという意識を出せている」と手応えを掴んでいる。

 U-18Jリーグ選抜戦の前半には少ないタッチから、相手DFの背後に絶妙な浮き球のパスを通して見せた。シンプルに周りを使う術も身に付けたことで、得意のドリブルやターンもより生きるようになった。
 
「ここから得点にこだわっていかないといけないし、チームに帰っても常に得点を目指してやっていきたい」

 高校選抜で本来の姿を見せた今季の主役候補は、ここから完全復活を遂げるのか。きっかけを掴んだレフティにもう迷いはない。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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