順調なC大阪と戸惑う横浜――キャンプで見えた両チームの現在地は?

2018年02月08日 佐藤俊

横浜は昨季までの両翼任せのスタイルから抜け切れていない

昨季の2冠で自信を掴んだC大阪。清武をはじめとする主力選手の動きも良い。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 最近は沖縄でのキャンプが主流になりつつあるJリーグだが、九州の宮崎、鹿児島も多くのチームがキャンプを張っている。今年の宮崎は寒い日が続き、選手も怪我や風邪などに十分な対策を取って練習をしていた。
 
 宮崎で気になったのは、横浜F・マリノスだ。
 
 エリク・モンバエルツ監督が退任し、元オーストラリア代表監督のアンジェ・ポステコグルーが新監督に就任した。また、攻撃の主役である齋藤学とマルティノスがそれぞれ川崎、浦和へと移籍した。
 
 モンバエルツ監督は齋藤、マルティノスのスピードを活かして堅守速攻のスタイルを完成させ、昨年はリーグ戦で5位、天皇杯は決勝に進出した。タイトルは惜しくも取れなかったが、スタイルを徹底することで選手の役割を単純化し、それがシンプルなサッカーとなって結果を出すことができたのだ。
 
 しかし、今シーズンは、そのスタイルから180度転換した。
 
 ポステコグルー新監督は、「パスをつなぐ攻撃的サッカー」というチームコンセプトを掲げ、新戦力として大津祐樹、ユン・イルロクらを獲得した。
 
 果たして、どのくらいコンセプトが浸透し、齋藤やマルティノスが抜けた攻撃をどう組み立てていくのか―――。
 
 練習での紅白戦などを見ていると4-3-3、または4-1-4-1でアンカーを置くシステムを敷いていた。GKを含めた最終ラインからボールをつなぎながら縦パスをサイドやFWに入れてスイッチを入れ、そこからテンポを上げて攻撃を仕掛けていく。
 
 だが、見ているとやはり飛車角を抜かれたダメージは大きい。ボールを渡して任せられる、違いを創り出せる選手がいないのだ。個での打開が難しいのでパスで崩していくしかないが、そのパスも横にはつながるが縦への動きが足りない。そもそもビルドアップからフィニッシュまでの流れがギクシャクし、なかなか良い形が作れないのだ。

 これでは相手は恐くないだろう。「パスをつなぐのは楽しいけど、それで攻め切るのは簡単じゃない」と、扇原貴宏は言うが、選手も昨季までの両翼任せのスタイルから抜け切れていない。

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