木っ端微塵にされた東京五輪世代… ウズベク戦の惨敗が未来への道標となるか?

2018年01月20日 川端暁彦

記憶にないほどの完敗を喫した森保ジャパン。選手たちの口から出たのは…。

30分からの10分間で3失点。終わってみれば4失点の大敗で森保ジャパンは準々決勝敗退となった。(C) Getty Images

 いつも強気の主将・MF神谷優太(愛媛)でさえ、「バルサじゃないので」と言いつつではあるが、「はっきり言って強かった」と認めていたのは印象的だった。

 U-23アジア選手権の準々決勝で当たり、U-21日本代表を4-0の大差で木っ端微塵に打ち砕いたU-23ウズベキスタン代表についての評価である。
 
 グループステージを観た段階でウズベキスタンはそこまで強さを発揮していたわけではない。ただ、2015年のU-20ワールドカップで8強入りしている国であり、昨年12月のタイ遠征で当たった時も日程的なハンデがあるなかで日本と互角に渡り合ってPK勝ちしていた相手である。ノックアウトステージ突入にあたって、ネジを巻き直してきていた。
 
「事前の情報では(相手が)あまりボールを持つ時間は長くないのかなっていう印象ではあったんですけど、普通にビルドアップのところでも自分たち以上の力を出してきた。球際のところだったり、一つひとつのスピードだったり、すべて相手のほうが上だった」(DF古賀太陽/柏)
 
 しっかり後方から組織的にポゼッションプレーをしてくる相手に対し、日本もリトリートして対抗。「途中までは決して悪くなかった」と森保一監督も強調したように、チームとしての完成度で見劣りする中でも応戦することは何とかできていた。ただ、ウズベキスタンはそこからさらに一段上のギアを用意していた。

 主導権を奪われるなかで、日本の選手たちが徐々に心理的な圧力を感じ始めたのだろう。「心の余裕がなくなってきていた」(森保監督)状況で、ミスがミスを呼ぶような心理面での悪循環が生まれていく。そして、「こちらの(弱気になった)心理的な部分を相手は見逃してくれなかった」(同監督)。30分からの10分間で生まれた3失点は、そういう流れの中で喫した。
 
 後半立ち上がりにもゴールを奪ったウズベキスタンは、その後は余裕の試合展開。落ち着いてボールを動かして日本の選手を走らせて時計の針を進めていく。10番のMFシディコフ、9番を背負うエースストライカーのウリンボエフといった選手たちを次々に温存交代する余裕も見せて、そのまま逃げ切ってみせた。
 
 客観的に観れば、力の差がある試合だったのは否めない。シュート数は4対20。ウズベキスタンが5点目、6点目と奪っていてもおかしくないシーンもあった。歴代五輪代表はこれまでもアジア競技大会などで2歳年長の相手を向こうに回して敗れることはあったのだが、アジア勢を相手にここまで内容面で差をつけられた試合は、ちょっと記憶にない。歴史的な大敗だった。

【U-21日本代表PHOTO】AFC U-23選手権 中国2018へ向けた招集メンバー23人

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