【選手権】6発大勝にも満足しない大阪桐蔭の「野球部」に対する想い

2018年01月02日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

指揮官とエースが語ったライバルへの想い。

2ゴールを挙げた今岡。チームを支える背番号10は、同じクラスの“良きライバル”への想いを口にした。 写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 前半だけで4得点を挙げ、終わってみれば、6-0の完勝。大阪桐蔭は9年ぶりとなる全国の大舞台で文句の付けようのないパフォーマンスを見せた。だが、試合後、永野悦次郎監督は、「全然できてなかった」とチームへの不満を語った。
 
「最終ラインは固かったですし、FWもスペースへスペースへというばかりだった。中盤の選手も仲介役としてミスを減らせたら、もっと良い試合になってたと思います。とくに中盤とDF、GKも含めて本当に固かった。ビックリするくらい。なんなんですかねぇ……。あの子らは優しいので、勝たなければいけないという気持ちがそうさせるんですかねぇ」
 
 結果に満足せず、チームに辛辣な寸評を下したのは、指揮官だけではない。この日、2ゴールをあげて主役級の働きを見せた3年生エースの今岡陽太も同じだ。
 
 開始3分にジャンピングボレーで先制弾を叩き込み、44分には試合を決定付けるPKを沈めた背番号10も、「いつもと違う感じがしていた」と、指揮官と同様に緊張から満足にプレーできなかったと振り返る。
 
「昨日の夜とかから『アップをしっかりやれば、固くならずにいける』と思ってたんですけど、思っていた以上に選手権の緊張感があったんで、いつもよりかはぎこちなかったと思います」
 
 大阪桐蔭の面々が、ここまで内容と結果にこだわりを見せるのは、やはり他の部活に対するライバル心があるがゆえだ。とりわけ、春夏合わせて6度の全国制覇を経験している野球部に対しての想いは強い。2005年の創部からサッカー部で指揮する永野監督は語る。
 
「ほんと僕らはまだまだこれからですよ。優勝しなければ、肩を並べられないという感じがありますし、やっぱり教室の中とか学校生活の中では野球部の子らが逞しく、大きい存在ですからね。刺激はし合っていると思いますけど」
 
 昨春の選抜高校野球制覇時の野球部主将で、捕手としてチームを牽引した福井章吾と同じクラスで切磋琢磨し、甲子園にも試合を見に行ったという今岡は、「LINEで『がんばってこいよ』と言われました」と連絡を受けたことを明かし、良きライバルへの想いを話した。
 
「野球部は日本一になっていますし、それは凄く刺激を受けている。越すってことはできないですけど、まず肩を並べるには日本一しかない。だから負けたくないです」
 
 スポーツ強豪校らしく、他の部活への反骨精神を剥き出しにした浪速のサッカー小僧たちは、全国制覇に照準を合わせて、まずは明日の明秀日立戦に挑む。
 
取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
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