【リーガ冬の通信簿|R・マドリー編】王者らしからぬ前半戦。負のスパイラルにはまり込んで…

2017年12月31日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

狂った歯車が噛み合わないまま。

ベイルの怪我もあり、BBCが早々と崩壊。不振のベンゼマを重用する指揮官の采配には、マドリディスタも怒りを通り越して呆れ気味だ。(C)Getty Images

【17節までの主な成績】
リーガ・エスパニョーラ4位|9勝4分け3敗/30得点・14失点
チャンピオンズ・リーグ|グループH2位通過/4勝1分け1敗/17得点・7失点

前半戦のチームパフォーマンス…30点

――◆―――◆――

 王者らしからぬ前半戦だった。2節、3節の連続ドローでいきなり躓いたチームは、狂った歯車が噛み合わないまま新たな年を迎えようとしている。

 波に乗れなかった要因はいくつもある。トニ・クロース、ルカ・モドリッ チが揃って調子を落としたのもそうで、これに伴いイスコへの負担が増大。マルセロ(怪我)、ダニエル・カルバハル(病気)の両SBの欠場とコンディション不良も、中盤の機能低下に拍車をかけた。

 また前線も、キーマンであるカリム・ベンゼマがピリッとせず、ガレス・ベイルは相変わらず故障を繰り返し、おまけに頼みのクリスチアーノ・ロナウドがゴール欠乏症に陥った。中盤を含めた攻撃陣の不振は守備面にも影響を及ぼし、ラインが間延びして敵にスペースを突かれ、失点を重ねた。

 もちろん、ジネディーヌ・ジダン監督はただ手をこまねいていたわけではない。だが、4-4-2システムを試すなど打開策を探るも、どれも効果は薄かった。

 こうした状況下ではダニ・セバジョス、テオ・エルナンデズら若い新戦力をテストする余裕がなく、むしろ主力への依存度が高まって、自慢のターンオーバーも次第に機能しなくなっていった。さらにチーム状態が上向かないことで焦りが生じ、最近ではひとり気を吐いていたイスコまで強引なプレーが目立ちはじめるなど、すっかり負のスパイラルにはまり込んでいる。

 チームとしてのポテンシャルは間違いなく高い。1月の補強が囁かれるが、それより必要なのは選手たちの自信を回復させることだろう。 2015年1月の監督就任以来、巧みなマネジメントでスター軍団を束ねてきたジダン監督は、停滞感を打破し、状況を好転させられるだろうか。

☆前半戦MVP☆
イスコ

 広範囲に動いてボールを引き出し、違いを作り出した。プレーに自信が漲り、エースの風格さえ漂う。

文●下村正幸

※ワールドサッカーダイジェスト2018.01.04号より加筆・修正
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