目標は「トップ5入り」名波浩監督が"緻密なチーム作り"の先に見据える野望

2017年12月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

指揮官が見据えるのは、持続可能な強さを備えた常勝クラブに引き上げること。

名波監督は「勘違い」せずに足場を固めると強調した。(C)SOCCER DIGEST

 J1復帰初年度の2016年シーズンは最終節で辛くもJ1残留を決めた磐田が、昨季は上位に駆け上がった。リーグ最少失点を記録し、開幕前に名波監督が「+-ゼロが目標」と語った得失点差は+20。13位から6位と順位を大きく上げた。
 
 最終戦では、優勝に王手をかけてヤマハスタジアムに乗り込んで来た鹿島に得点を許さず引き分け、往年のライバルの連覇を阻んだ。アウェーでの同カードも3-0で快勝している。浦和にも今季は1勝1分けで負け無し。初優勝を遂げた川崎にもホーム戦は5-2で勝利するなど、強豪チームにも堂々と渡り合い、最後までACL出場を射程圏内に捉えて戦った。そうした躍進ぶりから、来季は優勝争いへの参戦を予想するファンも多いだろう。
 
 しかし、14年の9月にJ2で不調にあえぐチームを預かり、一からの立て直しを図ってきた名波監督が4年目のシーズンの目標に掲げているのは、『トップ5』入り。むしろ、「ここで勘違いをしてはいけない」と気を引き締める。
 
「夏前くらいからリーグで"ダークホース"的な存在になった。それを踏まえて、実際に我々がどの位置にいて相手にどう思われているかも吟味しながら戦ったが、我々にはまだ充分な力はない。ひとり抜けただけでガクンと力か落ちるとか、怪我人が出て低迷する例を数多く見てきた。そういう意味では、今がチームの締め時。ゴン中山(雅史)のような、背中で『おまえら勘違いするな』と言う選手はいないから、我々コーチ陣がしっかりやらないといけない。トップ3や優勝争いを現実的な目標として明確に口にできるのは、来年の先だと思う」。名波監督はシーズンを振り返った上で来季を見据え、そう語っている。
 
 現役時代、Jの強豪として一時代を築いたOB監督が目指すのは、一過性の強さではなく、持続可能な強さを備えた常勝クラブに再び磐田を引き上げること。攻守に自分たちから仕掛ける、アクションに満ちた魅力あるスタイルの構築を強化の軸に据えたチーム作りのプロセスは、地道で緻密で、段階的だ。

次ページ新たなシステムへのトライも示唆。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事