孤高の名手、松井大輔が語る「中村俊輔、黄金世代、そしてキングカズ」

2017年12月29日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

自分が生きていくにはドリブルで売るしかない

アテネ五輪組はかつて、谷間の世代と称された。その代表格だった松井は、煌びやかだったシドニー五輪組をどう見ていたのか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 自慢の技巧を駆使して、パスにドリブル、フィニッシュと、いまだ観る者を魅了してやまない。今年の夏にふたたび活躍の場を日本から欧州へ移し、現在ポーランド2部リーグ、オードラ・オポーレでプレーする元日本代表、松井大輔。ウインターブレイクで帰国中のファンタジスタを直撃し、近未来へのビジョン、ハリルジャパンへの期待、ポーランド・サッカーと代表チームへの印象など、訊きたいトピックスを次から次へとぶつけてみた。

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 酷寒の地であるポーランドの冬期休暇は長い。11月25日のリーグ戦を最後におよそ3か月間のブレイクに突入し、再開はなんと3月3日! シーズン中にここまで長い中断が入るのは、松井にとっても初めての経験だ。
 
「11月の終わりにシーズンが終わって、3月に始まるわけですから、ほとんどJリーグみたいな感覚ですよ。1月中旬にあっちに戻って、もう一回身体を作り直す感じ。チーム自体も別のチームになりますからね。休みを長くもらうというのも、なかなか大変ですよ」
 
 帰国後は英気を養いながら、数多のメディアに登場して活力を得ている。そのなかでも大きな刺激を受けたと話すのが、テレビ朝日系『やべっちF.C.』のスペシャル企画。いまだ現役の小野伸二、稲本潤一、小笠原満男、本山雅志たち、いわゆる黄金世代の面々とフットサルに興じたのだ。「めちゃくちゃ楽しかった。なんと言うか、しゃべらんでも共有できるというか、ジーコジャパンのときの感覚が甦って面白かったですね。観ても楽しい、やっても楽しい。まあ同世代で仲がいいし、ホンマにすごいひとたちですよ」と感服する。
 
 松井は現在36歳で、1979-80年生まれの黄金世代は学年でふたつ上にあたる。強烈な個の集団である少し上の兄貴たちを、松井は"下"からどう見ていたのか。
 
「正直、追いつけないなぁ、と思って見てました。それこそ中3とか、ナショナルトレセンの頃からずっと上にいましたし、眺めてましたよ。だからこそでしょうね。僕らは谷間の世代(アテネ五輪世代)と言われてたけど、しっかり地に足をつけてできたってのがあります。本当の天才と言われる選手たちのプレーを間近で見ながら、自分たちはどうすべきなのかをいつも考えてた。僕はどちらかと言えばドリブラー。シュン(中村俊輔)さんや黄金世代は、それこそパサーが多かったですよね。自分が生きていくにはドリブルで売るしかない。出てきたパスで裏に抜けて、そこからの仕掛けで勝負するしかないと」


 

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