時代はINACから再びベレーザへ―― 今季二冠で3回目の黄金期到来か?

2017年12月25日 馬見新拓郎

攻守に盤石の強さを見せつけ、日テレが3大会ぶり12回目の皇后杯優勝!

皇后杯で3大会ぶり12回目の優勝を飾った日テレ・ベレーザ。リーグ戦と合わせ、今季二冠を達成した。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 第39回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会の決勝が24日に行なわれ、ノジマステラ神奈川相模に3-0で勝利した日テレ・ベレーザが、3大会ぶり12回目の皇后杯を制覇した。日テレはプレナスなでしこリーグ優勝を合わせて、今季は二冠を達成した。
 
 主力の代表選手7人を欠いたなでしこリーグカップ1部は準決勝で敗退したが、日テレにとっては充実のシーズンだったと言える。
 
 日テレは開幕前、DF有吉佐織が負傷で長期離脱し、シーズン途中からはDF村松智子も離脱した。ディフェンスラインの主力2名を欠いたが、DF清水梨紗がセンターバックにコンバートされて安定感を取り戻した。リーグ戦18試合でわずか8という失点数はリーグ最少で、3試合を残して早々に3年連続15度目のリーグ優勝を決めた。キャプテンのDF岩清水梓を中心とした守備は、皇后杯でも揺るがず、5試合を戦って1失点のみだった。
 
 攻撃面では近年、なでしこジャパンでも台頭著しいFW田中美南が牽引している。なでしこリーグ2年連続の得点王に続き、今回の皇后杯でも5試合で7得点を挙げて大会得点王に輝いた。「ゴールという結果でチームを助けることができているのは、自分の中での成長」と、田中本人も今季を振り返って納得の表情だ。
 
 先のE-1サッカー選手権でも3試合で2得点を決め、田中はなでしこリーグで点が取れる選手から、代表で点が取れる選手になってきた。「体幹を鍛えたことにより、今季は身体の軸がぶれずにシュートできるようになった。それが彼女の大きな成長」と、日テレの森栄次監督は評する。
 
 その攻守をつなぐのが、なでしこリーグ最優秀選手賞を3年連続で受賞したMF阪口夢穂だ。日テレのリーグ3連覇の中心には常に阪口がいて、冷静にピッチを見渡せる視野の広さと状況判断の確かさは、選手層の厚い日テレでも"替えが利かない"ほどだ。

次ページ岩清水が振り返る「低迷時代」と3度目の「黄金時代」到来の予感。

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