なでしこジャパン 悲願の初優勝なるか!? アジアカップ展望

2014年05月13日 早草紀子

「アジアアップはワールドカップより難しい」

欧州組の招集に制約があった今大会。猶本などニューフェイスを取り込んだチームの完成度をどこまで高められるか、それが鍵だ。 (C) SOCCER DIGEST

 2015年の女子ワールドカップ・カナダ大会の予選を兼ねた女子アジアカップが、いよいよ5月14日からベトナムで開幕する。
 
 アジアの出場枠は「3」から「5」に増えたうえ、5強(日本、オーストラリア、中国、韓国、北朝鮮)の一角を占める北朝鮮が、前回大会のドーピング違反の処分で今大会の出場資格を剥奪された。正直、ワールドカップの出場権獲得はそれほど難しいミッションではない。
 
 とはいえ、日本はある決意をもって大会に挑む。目標は、「アジア初制覇」。アジア競技大会や東アジアカップでの優勝経験はあっても、AFC主催の大会でいまだ無冠なのだ。「アジアカップは二度挑戦して、二度とも3位。アジアカップはワールドカップよりも難しい戦い」と佐々木則夫監督も語っている。
 
 気になるのは、慣れ親しんだメンバーで戦えないことだ。今大会は国際Aマッチに指定されていないため、シーズン真っ只中の欧州組の招集に制約があった。全日程を戦えるのは、左SBの宇津木瑠美(モンペリエ)のみ。チェルシーに所属するエースの大儀見優季は、グループリーグの3試合で帰らなければならない。
 
 猶本光、乗松瑠華といったU-19世代や、吉良知夏などなでしこリーグで活躍する選手に期待がかかるものの、新しいメンバーでのチーム作りはわずか9日間。どこまで組織力を高められるか。
 
 5月8日の壮行試合では、仮想オーストラリアのニュージーランドと対戦した。この試合で、佐々木監督は吉良と高瀬愛実で2トップを組み、ボランチには宮間あやと阪口夢穂を起用して、多彩なゲーム展開を見せた。
 
 とはいえ、ニュージーランドの状態も万全だったわけではなく、手放しで肯定的に評価するわけにはいかない。吉良などニューフェイスが物怖じしないプレーを見せたのは明るい材料だが、移動などを差し引けば、1週間程度しかチーム作りに時間を避けなかった計算だ。まだチームになっていない状態では、厳しい戦いが予想される。
 
 しかも、初戦の相手がオーストラリアだ。アジア5強の一角であり、前回大会の準決勝で敗れた相手である。苦手とするセットプレーからゴールを奪われ、リズムを失った。

次ページベテランの思いにニューフェイスが応えれば。

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