熱がなかったハリル、見返せなかった国内組…E-1選手権とは何だったのか

2017年12月17日 佐藤俊

山口蛍、井手口陽介が試合に出場できているのは…。

選手にデュエルを求めるハリルホジッチ監督は、海外組を重視している。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 国内組とは、何だろうか――。その存在と難しさを改めて考えさせられた韓国戦だった。
 
 国内組、海外組と分けられ、代表チームに置けるポジションの違いが注目されるようになったのは、ジーコが監督になってからだ。
 
 2002年の日韓W杯をベスト16という結果で終え、その恩恵を受けて多くの選手が海外に飛び出し、また元々プレーしていた海外組はさらに活躍していった。ジーコは異文化の中で生活して戦うタフさを求められる海外組に自らの現役時代の姿を重ね、プレー的にも日常的に高いレベルのサッカーに触れ、外国人と違和感なく戦える海外組を重宝したのだ。
 
 その結果、代表内にヒエラルキーが生まれた。海外組は常に尊重され、優遇されるようになった。W杯予選前、国内組だけで合宿をこなし、良い内容で終えても、いざ試合となると2日前に合流した海外組がレギュラーポジションを占めた。
 
 コンディションを落とした海外組が動けず、シンガポール戦のように大苦戦した試合もあった。しかし、それでもジーコの中の序列は最後まで変わらなかった。国内組は、海外組の穴を埋める存在でしかなかったのだ。
 
 ザッケローニの時代も基本的にはそうだった。
 
 もっとも本田圭佑、香川真司、長友佑都ら欧州のビックラブに籍を置き、活躍している選手が多かっただけに実力的にも納得できる状況だった。本田ら海外組を軸に選手を固定して作られたチームの完成度は非常に高かった。

 だが、ブラジルW杯の1年前、韓国での東アジア選手権で国内組が発奮し、優勝してから少し変化が生じた。結果を出したことをザックが重視し、そこで活躍した柿谷曜一郎、山口蛍、森重真人らを代表メンバーに招集し、海外組の選手たちと融合させていったのだ。
 
 ハリルホジッチも海外組を重視している。
 
 選手にデュエルを求めているので、欧州で身体の強い選手と常に対峙し、その圧に慣れている海外組は、それだけでアドバンテージになっている。例外的に国内組で山口蛍、井手口陽介が試合出場できているのは、彼らが海外組並みにインテンシティが高く、フィジカルが強いという特長があるからだ。

 今大会、ハリルは見てみたい国内組の選手を招集した。合格ポイントは、チーム戦術を理解してピッチ上で遂行できるか。個の力を発揮して結果を出せるか。良い意味で監督の期待を裏切ることができるか、だ。

次ページ良い経験、で終わらせてほしくない大会だった。  

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事