ヴェルディはなぜ躍進できたのか…内田達也に訊いた「進化の理由とロティーナ改革の深層」

2017年12月15日 上岡真里江

掴んだのは、サポーターの心だけではない。

入団まもない春先から、チーム内での意識の高さが際立っていた内田。ヴェルディの躍進を牽引した。(C)TOKYO VERDY

 味スタで躍動するウッチーがもっと見たい。
 
 11月30日、2017シーズン最後の全体練習。ヴェルディグラウンドの観客席に、ひとつの横断幕が掲げられた。今季、ガンバ大阪から期限付き移籍で加入した内田達也。彼の残留を心の底から希望する、サポーターのメッセージだった。
 
 掴んだのは、サポーターの心だけではない。「うしろから見てて、『そこ見えてるんだ』と思える、読みの素晴らしい、サッカーを知っている本当にいい選手だと思う」(GK柴崎貴広)、「ウッチーがいなかったら、今年、5位という成績にはなれなかった」(MF安西幸輝)といった言葉に代表されるように、チームメイトたちの信頼、さらには、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督からの高い評価を、この一年でがっちりと勝ち得た。「ウチは我々のチームが目ざすスタイルの中で、重要な役割を果たしてくれている」と、スペイン人指揮官が称える。リーグ戦42試合中、41試合に先発出場。文字通り今季の東京ヴェルディは、"内田ありき"のチームだった。
 
 結果として、ジュニアユース時代から慣れ親しんだ環境を離れた決断は、間違っていなかった。「プレー内容どうこうより、まずはスタメンではなくても、一年間試合に絡み続けて、僕がシーズンを通してやれるということを知ってもらうこと」と、自らに課したこの移籍のテーマを着実にクリアしていく中で、手に入れたものは想像以上に多かった。
 
 フィールドプレーヤーで見れば、チーム2番目の長さとなる3658分間の出場。「プロサッカー選手になったひとって、いままでずっと自分が中心だったり、試合に出るのが普通だったひとたちばかりだと思います。その、普通だったことが、プロになって普通じゃなくなって。最初はそれで、『上手くいかんなぁ』と感じてたんですけど、それが続いて、その状況に慣れてしまっている自分に気付きました」。サッカー選手として、試合に出続けることが、いかに楽しく、喜びであることか。「サッカーが好きでここまで来たんだ」という、忘れていた想いを取り戻した。
 

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