【中国戦|戦評】存在感を示した川又と小林。ロシアW杯のメンバー入りにより近づいたのは?

2017年12月13日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「困った時の川又」という約束事があるかのように

今回のE-1選手権ではここまで“スーパーサブ”として存在感を示す川又。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[E-1サッカー選手権]日本2-1中国/12月12日/味の素スタジアム
 
 北朝鮮との初戦と同じように、中国戦でも日本は攻めあぐねていた。伊東純也のドリブル、この日右SBで先発した植田直通のライナー性のクロスなどで良いところまで侵入できるのだが、フィニッシュの局面でどういうわけか迫力と精度が足りない。
 
 CFの小林悠も左右からのクロスに対してどうにか合わせようともがくが、ドンピシャのタイミングでパスをもらえないので、枠にさえシュートを飛ばせない。つなぎ役として機能していたようだった大島僚太が左足の怪我で交代(30分)して以降は、代わりに入った井手口陽介も初戦の疲労を引きずってか、チームとしてあまり機能していなかった。
 
 57分には一瞬の隙を突かれて中国に決定的なチャンスを作られたが、これをGKの東口順昭が1対1の状態で打たれたシュートを身体で止めて事なきを得た。攻めが上手くいかず、あわやという場面を作られる。まるで北朝鮮戦のような流れだった。
 
 そんな試合の空気が変わったのは75分。川又堅碁がピッチに入った後だった。フィジカル能力に優れ、空中戦に滅法強いこのストライカーがCFを任されたことで、日本の攻撃がよりシンプルになったように見えた。
 
 困った時は、最前線で身体を張れる川又めがけて放り込めばいい。そんな約束事があるかのように、日本はゴールを目指していく。北朝鮮戦もそうだった。この男が最前線でドンと構えてから攻撃の狙いがはっきりして、あの井手口の決勝弾が生まれた。
 
 井手口のゴールや今野泰幸のアシストが注目されがちだが、そのチャンスにも川又は絡んでいた。そして中国戦では84分にゴール前で潰れ役になり、小林の先制弾が生まれた。
 
 それまであまり機能していなかったチームが、川又の投入で活性化される。今大会、川又はここまでいわゆるスーパーサブ的な役割をこなしているのだ。あの前線でのどっしり構えた様から感じられる威圧感は、相手からすれば厄介だろう。
 
 少なくとも北朝鮮と中国は川又の独特なオーラに呑み込まれた結果、日本にゴールを奪われている。中国戦ではっきりしたのは、川又は少なくとも今大会において前線で使えるカードだということだ。

次ページCFで求められているのはなによりゴール。その点では…

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