【清水】鄭大世&小林伸二監督が熱弁する進むべき道「クラブとして成長するためには…」

2017年12月03日 前島芳雄

土壇場で改善された決定力とゲームコントロール力。

ダメ押しの3点目を決めた鄭大世。「失点後の落ち込み」を改善すべく、前日にミーティングをしたという。(C)SOCCER DIGEST

J1リーグ34節]神戸1-3清水/122日/神戸ユ

 最後の最後で、清水がようやく自力でJ1残留を決めた。甲府も90+6分という土壇場のゴールで勝ったため、神戸に追いつかれて引き分けに終わっていたら……と考えると、本当に薄氷を踏むような残留劇だった。
 
 ただ、そんななかでも光明が見えた部分もある。自分たちのCKからカウンターを食らって13分に先制点を奪われた場面では、今季続いてきた課題をそのまま露呈したが、その後が違った。
 
「失点した後の落ち込みが激しいので、そこをどうにか改善しようと昨日夕食後にミーティングをして話していた」(鄭大世)という言葉通り、失点直後に全員で円陣を組み、その後の戦い方について意思統一を図った。
 
 再開後はこれまでのようなバタバタ感はなく、冷静かつ積極的に攻めたなかで、19分に獲得したFKから北川航也が直接決めて同点。さらに26分にはボランチの増田誓志が移籍後初ゴールを決めて、前半のうちに逆転することに成功する。
 
 前節の新潟戦で前半2-0から逆転負けした悪夢は残っている。それでも今回は、引きすぎることなく、前からプレスに行きすぎてスタミナ切れを起こすこともなく、冷静な試合運びを続けた。
 
 そして、57分には左FKから鄭大世が3点目を決めて、神戸の勢いを削ぐことに成功。結果的に同点に追いつかれたら降格という状況だっただけに、この3点目も非常に大きく、鄭大世はエースとしての仕事を最後にきっちりと果たした。
 
 89分に長谷川悠が入った後は、前で起点を作って押し込みながら時間を使う試合運びができたことも、今までに見られなかった部分だ。
 
 失点した後のメンタル、自分たちから攻めてゴールを奪う爆発力、リードした後のゲームコントロール、終盤の時間の使い方……どれも今季を通して課題となっていた要素ばかり。それらを1年のなかでもっともプレッシャーがかかった試合で改善できたことは、大きな収穫だった。
 
 ここ2週間は選手同士の話し合いが頻繁に行なわれ、自分たちがやるべきことを議論し合って意思統一を図ってきたことも、大きな要因となっていただろう。最後の神戸戦で見せた力をシーズンを通して発揮できていれば、残留争いどころか、目標だったひと桁順位にも届いていたはずだ。

次ページ鄭大世は言う。「まだまだ選手自身の意識改革が必要だし、戦う姿勢を学ばなければいけない」

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